介護
(画像=PIXTA)

コロナ前のトレンド以上の負担増を前提にせざるを得ない医療・介護関連費

昨年12 月、政府・与党は75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担を1割から2割に引き上げる対象を、年金収入モデルで年間200万円以上(単身世帯)とした。その目的は、後期高齢者の医療費増加が健康保険組合の財政を圧迫し、現役世代の負担が増加しているからだ。ただ今回の削減効果は微々たるもので、更なる自己負担の引き上げや保険適用範囲の縮小は避けられない。

2020年度の新規国債発行額は112兆円と過去最大の発行規模となる。新型コロナウイルスという特殊要因に対応するための財源は、すべて赤字国債、現役・将来世代からの借金である。

国際通貨基金によると日本の政府債務は、2020年に国内総生産(GDP)比266%に達し拡大傾向が続いており、米国(131%)やイタリア(162%)など先進国の中で突出している。太平洋戦争末期でも200%前半なので、非常に深刻な事態と言える。

日本の医療制度は、国民皆保険を通じて世界最高レベルの平均寿命と保健医療水準を実現していると言われる。ただ皆保険が維持できているのは、国民医療費43・4兆円(2018年)の9割超を、健康保険料(24・4兆円)と税金(16・5兆円)で賄っているからだ。

健康保険料の合計額は、簡単に言えば「働き手の人数×平均的な報酬額×保険料率」だが、今後働き手は確実に減少し、平均的な報酬額は生産性が上がらなければ上昇しない。健康保険料収入を維持するためには、保険料率を上げるしかない。税金については、増収のためには消費税率引き上げが最も手っ取り早いが、消費者数は確実に減少するために先延ばしをすればするほど税率の引き上げ幅を大きくせざるを得なくなる。介護保険制度も同様である。

また、2025年には後期高齢者人口が約2200万人に膨れ上がり、国民の4人に1人が75歳以上になるため、医療や介護などの社会保障費の急増は以前から懸念されている。

コロナ前とは考えを変える必要がある