30代のビジネスパーソンは、ディスプレイを長時間にわたり見つめる仕事も多いことでしょう。仕事で目を酷使していても、多忙でなかなか目を休める時間を確保できないかもしれません。ただし、目の疲れが原因と思われる目のトラブルは、放っておくと重大な病気につながることもあります。最近、かすみ目や視力の変化など、目にかかわる気になることが出てきたなら、ぜひ確認をしておきたいことをまとめます。

労働や生活の様式はどう変わったか

目,疲れ目
(画像=buritora/stock.adobe.com)

インターネットの登場やスマートフォンの普及によって、社会は大きな変容を遂げました。会社員にとっても仕事の仕方が大きく変わり、会社のデスクではパソコンと向き合う時間が増え、外出中もスマホを使ってメッセージをやり取りするのが当たり前となりました。

パソコンとスマホの画面を見つめる時間が長くなると、目の疲れがどんどんたまっていきます。一定距離で目のピントを常時合わせていることからピントをつかさどる筋肉が疲労し、なかには頭痛の原因にもなったりもします。ディスプレイから発される強い光も目に悪い影響を与え、疲れ目の原因となります。

最近では、新型コロナウイルスの感染拡大の影響でリモートワークが広がり、パソコンと向き合う時間がさらに増えています。また私生活の面でも、スマホ依存などは目の疲れの原因となります。データマーケティングを手掛けるGlossomの調査によれば、2020年におけるスマホの1日平均利用時間は前年から13%増の126.6分となっており、人々のスマホを接する時間は年々増えています。

目の疲れなどによって出る症状と対策

前述の通り、目を酷使するとさまざまな症状があらわれ、重大な病気につながる可能性が高まります。眼精疲労が原因となっているケースと原因となっていないケースを含め、症状別にどのような病気につながる可能性があるのか、説明していきます。

眼精疲労が原因ではないケースも含めて紹介する理由は、症状の原因が眼精疲労だと決めつけてしまうと、重大な病気を見逃すリスクが高くなるからです。

●症状1:目がかすむ:「白内障」や「緑内障」の可能性も

目がかすむことで視界がぼやけたり、視力の低下を感じたりするようになったら、要注意です。40歳以上に多くみられる症状ですが、目を酷使していると30代でもこうした症状に見舞われます。

一時的なかすみの場合は「調節障害」「アレルギー性結膜炎」など、比較的軽度な病気であることが多いですが、なかなか症状が改善しない場合には「白内障」や「緑内障」のほか、「眼底出血」といった失明や全身疾患にもかかわる危険な病気である可能性も高まります。

●症状2:目がしょぼしょぼする:「結膜弛緩症」や「甲状腺眼症」の可能性も

目がしょぼしょぼするのは眼精疲労の典型的な症状です。原因として考えられるのは、目の使い過ぎやドライアイのほか、メガネやコンタクトレンズの矯正不良やストレスでもこうした症状が出てくることがあります。

こうした原因を1つずつ解消していけば症状が治まることもありますが、睫毛(まつ毛)が内向きに生えることで角膜を傷つける「睫毛乱生」や、白目の皮がたるむ「結膜弛緩症」、眼が大きくなりまぶたが腫れてしまう「甲状腺眼症」などの病気を発症している可能性もありますので、症状がなかなか改善しない場合は迷わず眼科を受診することをおすすめします。

●症状3:目に痛みを感じる:「角膜炎」や「視神経周囲炎」の可能性も

目の表面や眼球そのもの、目の奥、まぶたなど、目のいずれかの部分に痛みを感じたり、目がゴロゴロするように感じたりケースも注意が必要です。単にゴミが入って痛みを感じるのであればすぐ症状が治まることもありますが、重大な病気を発症している可能性もあります。

具体的な病名としては、「角膜炎」や「視神経周囲炎」などのほか、視力低下や眼神経領域の知覚障害を伴う「眼窩先端部症候群」といった病気である可能性にも注意が必要です。

●症状4:まぶしく感じる:「白内障」や「点状表層角膜症」の可能性も

暗いところから明るいところへ移動したわけでもないのに、目にまぶしさを感じる場合は、「白内障」であることが疑われます。夏の日差しや対向車のヘッドライトを非常にまぶしく感じる場合も、要注意です。

サングラスをかけるなどの対策でまぶしさを緩和しようとする人もいますが、それでは病気は根本的には治りません。また白内障のほか、角膜にキズがつく「点状表層角膜症」や網膜の視細胞が障害される「網膜色素変性症」の可能性もあります。

目に関する症状は重篤な症状の前触れの可能性も

ここまで、目の直接のトラブルにかかわる病気の可能性について解説をしましたが、目のトラブルは、じつは全身疾患のサインである可能性も指摘されています。目は毛細血管が集中している器官であることから、とくに血液と関連する内蔵の機能低下などが症状に出やすいのです。目の症状や異常をきっかけに、生活習慣病に罹っていることが発覚するケースもあります。主な可能性をいくつか確認しておきましょう。

●肝臓の機能の低下

肝臓は目にも栄養を送ります。そのため、肝臓の疲れなどで肝機能が低下すると、目のトラブルが起きる可能性があります。目が疲れる、ぼやける、かすむ、ドライアイといった症状のほか、白目が血走ったり、目のまわりにクマやシワが出やすくなったりします。目そのものに原因が見当たらず、治療でもなかなか症状が改善しない場合は要注意です。

●腎臓の機能の低下

例えば、網膜中央にある黄斑にむくみを生じる「黄斑浮腫」の場合、腎機能が低下しているために、ものがぼやけて見える、またはゆがんで見えるケースがあります。視力をつかさどる網膜のなかでも最も鋭敏な部分である黄斑が、網膜の血管のトラブルにより漏れ出した血液成分のためにむくんでしまうことから発症します。このむくみは、体から水分が十分に排泄されないために起こる症状で、腎臓の機能低下の典型例です。黄斑浮腫の治療をしても症状が改善しない場合は、腎機能に何らかの異常がある可能性が高まります。

●糖尿病の合併症

生活習慣病の1つである糖尿病を発症すると、目の疾患を併発することがあります。それまでに糖尿病という診断を受けていない人は、目のトラブルをきっかけに糖尿病を疑う視点も求められます。糖尿病にかかっている場合、糖尿病の合併症である糖尿病網膜症により、涙の量やまばたきの回数が少なくなる傾向があり、ドライアイからかすみ目となってしまうことがあるからです。以前から糖尿病の疑いを指摘されている方は一刻も早く診療を受けるべき状況といえます。

目の病気はビジネスの大きな障害。症状に不安があるならすぐ受診を

目に何らかの病気を抱えると、仕事で大きな障害となります。そうなれば自分が描いていたキャリアプランは崩れ、昇格による昇給が遠のくことで、家計や将来設計にも影響が出てくるかもしれません。

そのため、目がかすむ、目がしょぼしょぼする、といった何気なく感じる症状であっても甘く見ず、数日から1週間経っても症状が改善しないようなら、すぐに眼科を受診することが求められます。

目の健康を維持するために、眼科に出向く手間や時間、診察料を「健康投資」だと捉えることが重要なのです。目の健康が維持されるのであれば、こうした手間や時間、診察料は非常にリターンの大きい投資です。

また先ほど触れた通り、目のトラブルは全身疾患や生活習慣病が原因で起きることもあるため、眼科受診などの対症療法のみならず、体全体の精密な検査ができる人間ドックの利用も検討したいところです。

目のトラブルは、視力の問題に限らず体全体のリスクシグナルともなります。仕事に生活に、大きく影響を与えることを十分注意しておきましょう。