新型コロナウイルスが広範囲に影響を及ぼす中、人々のお金に対する意識も大きく変化している。SMBCコンシューマーファイナンスがコロナ禍に実施した調査では、20~40代の「貯蓄」と「おひとりさま消費」が大幅に拡大したことが明らかになった。

このほか、結婚・子育て・老後資金に対する考え方など、さまざまな面でお金の価値観に変化が表れている。この記事では、20~40代のお金に対する意識の変化を見ていきたい。

目次

  1. 20代の変化
    1. 家計・貯蓄に関する変化
    2. 消費に関する変化
    3. 結婚・子育て・住宅に関する変化
  2. 30~40代の変化
    1. 家計・貯蓄に関する変化
    2. 消費に関する変化
    3. 結婚・子育て・住宅に関する変化
  3. 理想の老後資金に温度差

20代の変化

貯蓄,おひとりさま消費
(画像=PIXTA)

「20代の金銭感覚についての意識調査2021」は、2020年11月に20歳~29歳の男女1,000人を対象に実施されたものだ。20代ではどのような変化が見られたのだろうか。

家計・貯蓄に関する変化

コロナ禍の収入の増減については、約3割が「減った」、約2割が「増えた」と答えるなど、若干の二極化が見られる。

貯蓄額は平均 72 万円と前回(2019年12月実施)調査から 19 万円増えた。理由として、自粛やリモートワークへの移行で出費が減ったこと、特別定額給付金を受給したことのほか、家計を見直す人が増えていることも挙げられる。

この傾向は特に既婚者に強く、貯蓄額が56万円も増えている。もちろん、すべての20代に該当するわけではなく、約2割は貯蓄が全くない状況だ。

毎月のお小遣い は平均 2万9,398 円と前年の調査から微増したものの、約3割が「毎月自由に使える金額は1万円以下」と財布の紐を締めている。

消費に関する変化

消費に関しては、「無理をせず買える範囲で良いものを選びたい」という「身の丈消費」志向が約8割を占める。また、7割以上が商品・サービスを購入する前に、価格比較サイトや口コミをチェックするなど、「価値」をしっかりと追究している。

興味深いのは、「おひとりさま消費」が拡大している点だ。実際に一人で行動・消費することにお金をかけている人は約6割と前回調査から若干減少したが、消費額の平均は 5,362 円と1,235 円増えた。感染予防策として複数での行動を避け、一人で行動する機会が増えたこともあるだろうが、巣ごもりマインドが影響している可能性もある。

その証拠に、前回の調査では、若い世代ほど人とのつながり消費にお金をかける傾向が高かったが、今回は約4割へと減少。6割以上が「自宅にいる時間を充実させるためにお金をかけたい(動画配信やゲーム、ソファやクッション、家電など)」と答えた。

「こだわり消費志向」が多いのも、この年代の特徴だ。約8割が「自分の趣味嗜好に合うものやことにお金をかけたい」と答え、合計7割以上が「自己投資や自分磨き」にお金をかけている。ここでいう自己投資とはスキルアップのための勉強や資格取得、自分磨きとは美容やファッションなど外見磨きだ。買い物の際には、「将来に役立つもの」、「欲しいもの」「満足できるもの」を重視している。

結婚・子育て・住宅に関する変化

前回の調査では結婚を考える年収のハードルは500万円だったが、コロナ禍では600万円に上昇した。子育てやマイホーム購入のハードルも、それぞれ700万円、900万円と上昇した。また「年収がどんなに多くても結婚したいと思えない」人の割合も、2割へと増加した。

この辺りの変化は後に説明するが、「将来に対する不安」に根ざすものではないかと推測される。

30~40代の変化

続いて30~40代の変化を見ていこう。「30代・40代の金銭感覚についての意識調査2021」は、2021年2月に30歳~49歳の男女1,000人を対象に実施された。30~40代にはどのような変化があったのか。20代との共通点が複数見られるものの、貯蓄額やおひとりさま消費額が大きく増えたほか、消費マインドにも違いがある。

家計・貯蓄に関する変化

「収入が減った 」有職者は約3割、「増えた」のは1割未満。この年代も毎月のお小遣い は平均3万192 円 と前年の調査から微増したものの、「毎月自由に使える金額は1万円以下」という回答が3割を占める。

異なるのは、貯蓄額の増加率だ。平均貯蓄額は30代が47万円増の230 万円、40代は162万円増の364万円と大幅に増えた。おひとりさま消費額の平均も一ヵ月 9,637 円と、前回調査から 4,201 円増えている。

消費に関する変化

30~40代は、「家族や友人とのつながりを大切にしながら、自分の時間も重視したい」という消費マインドの人が多いようだ。

約7割が「親しい人と楽しく過ごすためにお金をかけている」一方で、おひとりさま消費をしている人の割合は前回より2割増の8割を超えている。

買い物の際に「将来に役立つもの」、「満足できるもの」を重視している点は20代と共通するが、「自己投資や自分磨き」にお金をかけている人の割合は、合計9割以上とはるかに多い。

結婚・子育て・住宅に関する変化

結婚を考える年収のハードルは年収500万円、子育てやマイホーム 購入のハードルはそれぞれ600万円、700万円と、20代の理想より100万~200万円低い。「年収がどんなに多くても、出産・子育てをしたいと思えない」は2割強と前回から増えた。

一方、子どものいる回答者は子どもの金融リテラシーへの意識が高く、390人のうち6割が「お金の大切さ」、それぞれ4割が「生活設計」や「お金の役割」について学んでほしいと答えている。

理想の老後資金に温度差

いずれの年代もコロナ禍で貯蓄が増えたにもかかわらず、約6~7割が「現在の貯蓄状況に不安を感じている」という結果となった。そのため、6割以上が「70歳以降も働いていると思う」と回答しており、その理由として「経済的にゆとりのある生活をしたい」「働かないと生活費が足りないと思う」と答えている。

老後に必要だと思う貯金額については、20代は平均1,884 万円と大幅に減少したが、30~40代は 57万円増の2,550 万円だった。20代より30~40代の方が、老後をより身近なものとして感じていることがわかる。

コロナ終息後、このような変化がニューノーマルとして定着するのか、あるいはパンデミック以前の意識に戻るのか、現時点ではまだわからない。いずれにせよ、より多くの人がお金について考えるきっかけになったのは、ポジティブな変化だと言えるだろう。