経営コンサルタントは会社に対して何をしてくれるのか?経営コンサルタントの活用を考える時に経営者が最も知りたいのはこの点に尽きるだろう。経営コンサルタントの具体的な仕事や活用するメリット、注意点や見極めるポイントを解説する。

目次

  1. 経営コンサルタントとは?活用するメリットと注意点
    1. 経営コンサルタントの仕事
    2. 経営コンサルタントを活用するメリット
    3. 経営コンサルタントを活用する注意点
  2. 経営コンサルタントには得意とする領域がある
  3. 経営コンサルタントの資格・肩書を知る
    1. 中小企業診断士
    2. 税理士/公認会計士
    3. MBA(エムビーエー)
  4. 経営コンサルタントの役職を知る
  5. 経営コンサルタントを選ぶ時に大切なこと
  6. 経営コンサルタントをブレーンに
木崎 涼
木崎 涼(きざき・りょう)
簿記・FP・M&Aシニアエキスパート。大手税理士法人で多数の資産家の財務コンサルティングを経験。多数の資格を持ちながら、執筆業を中心に幅広く活動している。

経営コンサルタントとは?活用するメリットと注意点

経営コンサルタントとは?経営に導入するメリットと注意点を解説
(画像=MIND AND I/stock.adobe.com)

経営コンサルタントが提供するのは「経営の助言をする」という目に見えないサービスだ。

経営者からすると、「経営コンサルタントを入れれば大きく経営が改善するかもしれない」という期待と、「結局経営コンサルタントが何をしてくれるのかわからない」という不安とが交じり合っているだろう。

まずは経営コンサルタントの業務内容や導入するメリットと注意点を整理する。

経営コンサルタントの仕事

経営コンサルタントは、経営者にとっての相談役だ。相談内容は多岐にわたる。たとえば、次のような内容を相談できる。

・事業戦略、事業計画
・人材採用、人材育成
・設備投資
・資金繰り
・資金調達
・増収増益
・経費削減
・生産性向上、業務効率化
・M&A
・海外進出
・IT化

経営コンサルタントの専門にもよるが、経営に関する悩みならありとあらゆることを相談できる。

まず企業の状態を診断し、課題を洗い出した上で、目指すべき方向性を決めて改善策を実施していく。期間限定のプロジェクトとして契約することもあれば、経営顧問といった形で継続契約をすることもある。

経営コンサルタントを活用するメリット

グローバル化、技術革新、インバウンドの増加――。変化の激しい時代において、その都度適切な情報収集を行い、経営の意思決定をするのは至難の業だ。経営コンサルタントを活用すれば、情報収集や分析、戦略策定にいたるまで、経営コンサルタントのアイデアを判断材料の1つとして加えることができる。

経営の要とされる「意思決定」に経営者が集中できるのが、経営コンサルタントを活用する最大のメリットだろう。

また、ITや人材育成については、自社でゼロから創り上げるより、外部の力を借りた方が効率的というケースも多々ある。経営コンサルタントの得意分野を上手に活用すれば、自社でノウハウを蓄積する時間を短縮し、スピーディに会社を成長させることができる。

経営コンサルタントを活用する注意点

一方で、信頼できる経営コンサルタントを活用しなければ、誤った情報や誤った戦略をもとに意思決定しかねない。そのため、信頼できる経営コンサルタントかどうか、十分見極めることが大切だ。

また、1人のコンサルタントに頼るのではなく、知り合いの経営者や顧問税理士・会計士など複数のブレーンを持ち、コンサルタントの意見はあくまで一意見としてとらえることも重要だ。

さらに、経営コンサルタントを活用するなら、費用対効果にもしっかり注目したい。費用対効果を重視する上で、費用の低いコンサルタントを選ぶ必要はない。むしろ、効果に着目する視点が大切だ。定期的にどのくらいの費用に対してどんな成果が得られたか、経営者として把握しておくようにしたい。

経営コンサルタントには得意とする領域がある

経営コンサルタントにも得意不得意がある。たとえば、次のような専門分野があることは最低でも押さえておきたい。

・人事
・財務
・IT
・海外進出

また、すべてに対応できる総合コンサルもある。

どのようなコンサルを選ぶかは、自社がどんな助言を必要としているかによって変わってくる。

特に採用や人材育成で悩んでいるなら人事コンサル。資金繰りや資金調達で悩みは財務コンサル。IT化で生産性向上を実現したい場合はITコンサル。海外進出を目指しているなら進出先の国での実績を持つ海外進出支援専門のコンサル。

このように、まずは自分が抱える問題や悩みに焦点をあてて経営コンサルタントを選ぶといいだろう。

また、総合的に経営の悩みを相談したい、事業戦略や事業計画の相談に乗ってほしい、といったニーズなら、総合コンサルが適している。

経営コンサルタントの得意分野、専門を知るとともに、自分に合った経営コンサルタントを見つけることが大切だ。

経営コンサルタントの資格・肩書を知る

経営コンサルタントは資格ではない。法律上の制限はないため、名乗ろうと思えば、誰でも名乗れる。そのため、経営コンサルタントを選ぶ時、何を参考に実力を見極めればいいか悩むことも多いだろう。

続いて、経営コンサルタントの資格や肩書を紹介する。資格や肩書があれば一概に安心とも言い切れないが、経営コンサルタントを見極める上で、資格や肩書も参考にするといいだろう。

中小企業診断士

中小企業診断士とは、中小企業の経営課題の診断や助言を行う国家資格だ。中小企業診断士は、経営のあらゆる悩みに応じてくれる総合コンサルの代表格といえるだろう。企業の戦略策定、事業計画の作成、金融機関との調整や資金繰りのアドバイスなどを行ってくれる。

中小企業診断士の筆記試験には、経済学・財務会計・企業経営理論・経営法務・経営情報システム・運営管理など幅広い科目がある。また、2次試験では筆記・口述による具体的なケーススタディに取り組む。さらに、実務補修・実務従事というステップを踏んではじめて、中小企業診断士として登録できる。

また、中小企業診断士の登録有効期間は5年間で、その後も登録し続けるためには更新登録申請が必要だ。そのため、中小企業診断士は最新の知識を身につけるために常に努力しなければならない。

税理士/公認会計士

国家資格である税理士や公認会計士も、経営コンサルタントの実力を知る1つの目安となる。どちらも難易度が高い国家資格として有名であり、資格取得のためには税務会計に関する膨大な知識の習得が必要だ。

よく混同されがちだが、税理士は税務の専門家であり、公認会計士は会計の専門家だ。税務とは、会社が納める税金を計算することだ。そのため、節税対策などは、税理士の専門分野といえよう。一方会計とは、会社の財務状況や経営状況を決算書にまとめることだ。決算書の数字を分析し、財務に関するアドバイスをすることが、公認会計士の専門分野といえる。

直接対応する経営コンサルタントが税理士や公認会計士でないとしても、財務に関して質問するなら、社内に税理士や公認会計士が在籍しているかどうかは確認しておきたい。

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税理士と会計士の仕事はどう違う?どちらに相談すべきかケース別で解説

MBA(エムビーエー)

MBA(エムビーエー)とは、「Master of Business Administration」の略で、経営学修士と呼ばれている。経営学の大学院修士課程を修了することで授与される学位なので、厳密には資格ではない。始まりはアメリカのビジネススクールであり、MBAは世界的にも知名度のある肩書だ。

MBAでは、経営の3要素といわれるヒト・モノ・カネに関する知識を習得するカリキュラムが組まれている。たとえば、グロービス経営大学院では次のようなカリキュラムが用意されている。

・リーダーシップ、マネジメント、メンタルヘルス
・マーケティング、経営戦略、オペレーション戦略
・アカウンティング、ファイナンス
・クリティカルシンキング、ビジネス・アナリティクス

この他に、AIやビッグデータ、ソーシャルメディア、異文化マネジメント、イノベーション、ベンチャーなど、時代に応じたカリキュラムが連なる。

MBAもまた、総合コンサルの代表格といえる。

経営コンサルタントの役職を知る

経営コンサルタントの世界では、係長・課長・部長といった一般的な役職名を使わないことが多い。続いて、経営コンサルタントの役職を紹介する。

<アナリスト>
新卒でコンサルティング会社に入社した場合のスタートライン。主に情報収集や分析を担う。コンサルタントの補佐にあたることが多い。

<コンサルタント>
プロジェクトを推進し、分析した情報結果をもとに経営に関するアドバイスを行う担当者。

<マネージャー>
複数のプロジェクトをとりまとめたり、チームをマネジメントしたりする管理者。

<パートナー>
コンサルティングファームそのものの経営を担ったり、著書を執筆して認知度向上に努めたり、新規開拓をしたりする。コンサルティング業界では、新人のアナリストよりパートナークラスの人材が新規開拓(いわゆる営業)を担う傾向がある。

なお、会社によっては異なる名称を用いることもあるので、1つの参考としてとらえてほしい。上記のような特殊な役職名が顧客になじみにくいという理由から、一般的な役職名を用いるコンサルティング会社もある。

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経営コンサルタントを選ぶ時に大切なこと

経営コンサルタントを選ぶ時に最も大切なのは、自分に合った相手を選ぶことだ。知名度の高いコンサルティング会社だからいい、資格や肩書があればいい、と一概に判断することはできない。

どのような専門分野を持つのか、どのような体制で業務提供をしているのか、無理のない価格設定か、このような点を総合的に加味して、経営コンサルタントを選びたい。

中小企業の経営者が経営コンサルタントを選ぶ時に特に大切にしてほしいのが「実践できるまでサポートしてくれるかどうか」という点だ。戦略を策定し、アイデアを出したり助言したりしてくれるが、実践できるまではサポートしないというスタンスのコンサルティング会社もある。

それでは、忙しい中小企業の経営者にとって、何の負担軽減にもならないことがある。現場にしっかり入り込み、必要に応じて現場の従業員ともコミュニケーションをとりながら、同じ熱意で経営改善に取り組んでくれるのか。このような視点を持って、会社の体制やコンサルタント個人の資質をしっかり見極めることが大切だ。

経営コンサルタントをブレーンに

経営判断は非常に難しい。だからこそ、経営者は複数のブレーンを持つことが望ましいといわれている。経営を専門にする経営コンサルタントは、ブレーンの候補として最適だ。

経営者は一人悩み、正解かどうか確信を持てないまま、日々数多くの経営判断を行わなければならない。ある意味、その重みを部分的にでも請け負ってくれるのが経営コンサルタントという存在だ。

信頼できる経営コンサルタントとの出会いがあれば、会社にとっても自分自身にとっても従業員にとっても望ましい結果を引き寄せられるだろう。

文・木崎涼

(提供:BUSINESS OWNER LOUNGE