「ネット証券会社といってもたくさんありすぎて違いがわからない!」というかたも多いのではないでしょうか。投資を始めるにあたり、証券口座選びは大切です。それぞれの違いを理解することで、自身の環境や目的に合った証券会社が明確になるはずです。ここでは、ネット証券大手5社、総合(店舗型)証券大手5社、計10社の企業特性を中心に解説します。

目次

  1. ネット証券会社の大手5社を徹底比較!
  2. ネット証券会社の大手5社、それぞれの特徴と最近の動向
  3. 総合(店舗型)証券会社の大手5社を比較!
  4. いくつかの証券口座を持って使い分けるのも手

ネット証券会社の大手5社を徹底比較!

高配当株への投資の失敗例に学ぶ。事前に知ってリスクに対応した投資をしよう
(画像=eskystudio/stock.adobe.com)

はじめに、ネット証券大手5社の比較からです。ネット証券に共通するメリットは次の内容です。

  • スピーディーに口座開設ができる
  • オンラインで手軽に取引ができる
  • 売買時の手数料が安い

では証券口座数で上位の大手5社、SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券、auカブコム証券を様々なテーマで比較していきましょう。

ネット証券会社の大手5社「従業員数と資本金」の比較

ネット証券会社の大手5社だけあって、各社ともに潤沢な資本金を有しています。一方で、他業界の大手企業よりも従業員数は少ない印象です。それは、多くの店舗を持たず、コンパクトに経営するネット証券ならではといえるでしょう。

▽ネット証券大手5社の企業規模

社名 従業員数 資本金
SBI証券 566名 483億円
楽天証券 480名 74.95億円
マネックス証券 327名 122億円
松井証券 142名 119.45億円
auカブコム証券 182名 71.96億円

※2020年9月22日現在、各社公式サイトや新卒サイトでの公表のデータから算出

ネット証券会社の大手5社「直近の業績」の比較

2020年前半、ネット証券大手の各社は口座開設数や利益を急増させたといわれます。2020年4月~2020年6月までの業績は次のとおりです。

▽ネット証券大手5社の直近の業績

単位:億円 ()は前年同期比の増減率%

社名 純営業収益 最終損益
SBI証券 1,111(+21%) 162(+39%)
楽天証券 163(+30%) 21(+80%)
マネックスG 142(+8%) 14(+68%)
松井証券 68(+33%) 21(+53%)
auカブコム証券 40(+4%) ▲2(赤字転落)

※出所:日本経済新聞社2020/7/31配信

5社の業績全体で見ると、auカブコム証券を除いた4社は好調です。1社だけ業績がマイナスだったauカブコム証券は、次の時代を見据えた新しい投資の影響が大きいといえます(詳しくは下段の企業紹介で解説)。表面的な数字だけを見て、企業の優劣を判断するのは早計かもしれません。

ネット証券会社の大手5社「口座数」の比較

証券会社にとって、口座数はそのまま顧客数を示すため重要な指標です。2020年3月時点のネット証券大手5社の口座数は下記のとおりです。

▽ネット証券大手5社の口座数

社名 口座数
SBI証券 543万
楽天証券 410万
マネックス証券 186万
松井証券 124万
auカブコム証券 115万

SBI証券500万台、楽天証券400万台に続いて、マネックス証券・松井証券・auカブコム証券が100万台という構図です。今後、ネット証券業界は新規参入やM&Aが激しくなると見られています。SBI証券や楽天証券が他3社との差を広げるのか、逆に、差を縮めるのか今後の動向から目が離せません。

ネット証券会社の大手5社「手数料」の比較

個人投資家にとっては、金融商品を売買したときの手数料は気になる要素でしょう。こまめに売り買いしている人はもちろん、長期で資産形成をする人も大きな差になる可能性があります。

ネット証券比較ランキング
ネット証券
会社名
手数料
特徴
少額投資

最大21万5千円
キャッシュバック
手数料、IPO、外国株
全てトップクラス
100万円まで無料

楽天ポイント
200ポイントプレゼント
トレードツールが便利 100万円まで無料

現金1,000円
プレゼント
初心者へのサポート充実 50万円まで無料

最大20万円
キャッシュバック
米国株取引に強み 50万円まで
最大495円
IPOに注力 50万円まで
最大440円

▽ネット証券大手5社の手数料比較

社名 株(現物) 株(信用) 投資信託
SBI証券 5万円以下:55円

10万円以下:99円

20万円以下:115円

50万円以下:275円

100万円以下:535円

※スタンダードプラン
10万円以下:99円

20万円以下:148円

50万円以下:198円

50万円超:385円

※スタンダードプラン
0円
楽天証券 5万円以下:55円

10万円以下:99円

20万円以下:115円

50万円以下:275円

100万円以下:535円

※超割コース
10万円以下:99円

20万円以下:148円

50万円以下:198円

50万円超:385円

※超割コース
0円
マネックス証券
※税抜表記
10万円以下:100円

10~20万円以下:180円

20~30万円以下:250円

30~40万円以下:350円

40~50万円以下:450円

50~100万円以下:

(成行注文)1,000円

(指値注文)1,500円

※取引毎コース
10万円以下:95円

10~20万円以下:140円

20~50万円以下:190円

50~100万円以下:355円

※取引毎コース
0円
松井証券 詳しくは企業紹介で
auカブコム証券 10万円以下:99円

20万円以下:198円

50万円以下:275円

50万円超

約定金額×0.09%+99円

※ネット注文
0円 0円

※手数料は税込表示 100万円超の設定は省略

ここで注意したいのは、ネット証券大手5社の手数料は記事執筆時(2020年9月22日)のものということ。手数料競争は今後さらに激しくなると見られます。最新情報をチェックすることをオススメします。

ネット証券会社の大手5社、それぞれの特徴と最近の動向

ここから先は、ネット証券大手5社の特徴や最近の動向にフォーカスしていきます。

SBI証券の特徴は?最近の動向は?

SBI証券は、ネット証券ではシェア(証券口座数)No.1の証券会社です。今後の競争激化を見据えて、2020年7月にネット証券中堅のライブスター証券買収を発表し、さらなる規模拡大を進めています。これにより、SBI証券の口座数にライブスターの約20万口座が加わることになります。SBI証券の証券口座数が多い理由として、次の内容が考えられます。

  • 投資信託の取り扱い銘柄が多い
  • IPO(新規上場)の取り扱い銘柄が多い
  • 夜間取引(PTS取引)の手数料が安いまたは無料
  • 1日の約定代金合計額が50万円以下なら手数料0円
  • 単元未満株(1株)単位で株売買ができる など

また最近では、投資初心者の参入も増えているため、「シェアNo.1のネット証券だと安心」という心理も働いているかもしれません。取引することでTポイントがもらえる特典も魅力の1つでしょう(国内株式・投資信託・金などの取引が対象)。

楽天証券の特徴は?最近の動向は?

楽天証券の強みの1つは「楽天ポイントが投資で貯まる!投資に使える!」ことでしょう。実際、2020年6月末の時点では総口座数のうち、約66%が楽天会員となっています。

株式取引では手数料の1~2%がポイントバックされます。国内株式はもちろん、海外株式にも適用されます。

また楽天ポイントは、積立投信・国内株式(現物)・バイナリーオプションの3カテゴリーで利用可能です。ちなみにバイナリーオプションとは、為替レートが指定したレートを上回るか下回るかを予測する取引を指します。なお、ポイントはNISAやつみたてNISAを選択しても使えます。

マネックス証券の特徴は?最近の動向は?

マネックス証券は、ネット証券で日本初の上場(2000年8月)を果たした企業として知られます。1999年、ゴールドマン・サックスの共同経営者だった松本大氏とソニーの共同出資で誕生して以来、ネット証券業界を牽引してきました。

先ほど見てきたように手数料の比較では、他のネット証券大手と肩を並べる安さになっています。加えて、300を超えるETF、ETN、REIT(インフラ投資法人含む)の信用取引手数料が無料というのも魅力です。NISA、ジュニアNISAの国内株式・投資信託の購入時手数料が0円のほか、米国株式や中国株式の手数料もキャッシュバック(実質0円)してくれます。

もう1つ、マネックス証券の仕組みで特徴的なのは、IPOの抽選が毎回平等で実施されることです。過去の申込状況による当選確率の調整がありません。運にゆだねることになりますが、頻繁に当選する可能性もあります。

松井証券の特徴は?最近の動向は?

松井証券は、独自色のある手数料が特徴です。特にデイトレードをしたい人、株式の取引回数の多い人と相性のよい手数料設計になっています。最近の話題としては、2019年12月に1日50万円以下の株式取引の手数料無料を発表しました。同社によると、市場全体の9割以上の銘柄を無料で取引できる計算になるとのことです。その内容を見ていきましょう。

まず、株式の現物取引は50万円以下なら手数料は無料です。100万円以下、200万円以下ならその金額の範囲内なら何回取引しても手数料は定額です。

▽松井証券の株式(現物)取引手数料

1日の約定代金計 手数料(税込)
50万円以下 0円
100万円以下 1,100円
200万円以下 2,200円
200万円超 100万円増えるごとに 1,000円加算
手数料上限は1億円超の10万円

信用取引でも、無期限信用取引(保有期間6か月超など条件あり)は50万円以下なら手数料0円。なお、ネット証券大手の他4社と同様、投資信託の購入時手数料も無料です。

auカブコム証券の特徴は?最近の動向は?

auカブコム証券は、日本最大の金融グループMUFGと大手通信会社KDDIのグループ会社です。大手ネット証券で唯一、自社で完全開発したシステムでサービスを運用しています。「豊富な種類の自動売買」「2WAY注文」「リアルタイム株価予測」など特徴的なサービスを展開中です。

auカブコム証券では2020年8月、投資信託の残高によって「Ponta」が貯まるプログラムを開始しました。Pontaといえば、利用者約9,600万人の国内最大級の共通ポイントサービスです。ポイント加算率は次のとおりとなっています。

  • 2万4,000円~100万円未満:年率0.05%
  • 100万円以上~3,000万円未満:年率0.12%
  • 3,000万円以上:年率0.24%

※このプログラムを利用して、Pontaポイントを付与するにはau ID登録が必要です。

またauカブコム証券は、国内のネット証券でいち早く、2019年12月に信用取引の売買手数料を無料化しました。これが、2020年4月~6月の業績がネット証券大手5社のなかで1社のみマイナスとなった原因といわれます。しかし、この試みは手数料無料化の流れが強まることを見越したもののようです。今後、この試みが業績にどれくらい貢献するか注視したいところです。

総合(店舗型)証券会社の大手5社を比較!

ネット証券だけでなく、総合(店舗型)証券会社が気になるという人もいるでしょう。総合証券会社は対面や電話によるコミュニケーションのイメージが強いですが、最近はネット取引を強化しているケースも目立ちます。トップ5社である、野村證券、大和証券、みずほ証券、SMBC日興証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の業績と各社の特徴を解説します。

総合(店舗型)証券会社の大手5社「直近の業績」の比較

下記の2020年4月~2020年6月までの業績で見ると、各社ともに最終利益を確保しており、一見すると、好調に見えます。しかし、対面営業を重視してきた総合証券会社のなかには、個人の手数料を落としているところもあります。今後、リアルとデジタルの融合を進めていけるかが分かれ目になりそうです。

▽総合(店舗型)証券会社大手5社の直近の業績比較

単位:億円 ()は前年同期比の増減率%または倍

社名 純営業収益 最終損益
野村HD 4,607(+39%) 1,425(2.6倍)
大和証券G 1,054(▲2) 175(+9%)
みずほ 804(+27%) 144(9.8倍)
SMBC日興 694(▲2) 64(+27%)
三菱UFJ 645(▲3) 43(5.8倍)

※出所:日本経済新聞社2020/7/31配信記事

野村證券の特徴は?

野村證券は、1925年創業の老舗・最大手として知られている証券会社です。店舗型のイメージがありますが、オンライン専用支店(名称:野村ネット&コール)も開設しています。また、アナリストレポートに定評があり、マーケットに影響を与えることも少なくありません。国内IPOの引受実績では1位で、IPO主幹事になることの多さでも知られます。

大和証券の特徴は?

大和証券は、全国47都道府県に170店以上を展開しています。一方、総合証券会社のなかではオンライントレードの先駆的存在で、300万人超の利用実績があります。オンライントレードでは、ニーズに合わせて次の2コースから選択できます。

  • 店舗+ネット取引の「ダイワ・コンサルティング」コース
  • コンタクトセンター+ネット取引の「ダイワ・ダイレクト」コース

みずほ証券の特徴は?

みずほ証券は、業界トップの259拠点(※)の国内ネットワークを展開しています。みずほフィナンシャルグループの強みを生かし、みずほ銀行やみずほ信託銀行との共同店舗も多く、資産運用や相続のコンサルティングなど幅広いニーズに応えてくれそうです。

※2019年3月31日現在

SMBC日興証券の特徴は?

SMBC日興證券は1918年に創業され、2009年からSMBCグループの一員になりました。安い手数料が特徴で、ネット取引中心の「ダイレクトコース」、アドバイスを受けながら投資ができる「総合コース」から選べます。オリジナリティの高いサービスとして、株式を定期定額でつみたて投資できる「キンカブ」があります。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券

2020年8月、三菱UFJモルガン・スタンレーPB証券と合併し、富裕層向けサービスの充実を目指している証券会社です。これを機に売買手数料が主体のビジネスモデルの見直しに着手し、資産残高に合わせてフィーを受け取るサービス比率を高めていきたいとの報道もなされています。

いくつかの証券口座を持って使い分けるのも手

最後にお伝えしたいことは「証券口座は1つにこだわらなくていい」ということです。銀行口座のようにいくつかの口座を持ち、用途に合わせて使い分けるのも賢い利用方法です。

たとえば、メイン口座とサブ口座を持つ。または、手軽に取引しやすいネット証券とレポートで定評があるリアル証券の口座を持つ。あるいは、ネット証券の口座を3つ持ち、NISA用、国内株式用、海外株式用で使い分ける。このような活用もできます。

ただし、やみくもに証券口座を増やし過ぎると、管理がしきれなくなるかもしれません。まずは2つ程度の証券口座を開設してみて、必要に応じて増やすのがよさそうです。

文・本間 貴志
ビジネス書に特化した編集会社のサラリーマン・ライターを経て、資産運用や税務の分野を専門とするライターとして活動。自身で賃貸物件の経営や、年間で億単位の株式売買も行っている