ボーナスの支給日が近づくと、「どのように使おうか」とわくわくする人も多いのではないだろうか。お給料とは別にまとまった資金が手に入るボーナスは、家計の大きな支えとなる。今回は一般的なボーナスの平均額やボーナスの使い方について解説する。

目次

  1. ボーナスの平均額を紹介 みんなはどれくらいもらっている?
  2. ボーナスの使い道 みんなはどのように使っている?
    1. 日本生命保険相互会社が発表したアンケート調査
    2. プロパティエージェント株式会社が発表したアンケート調査
    3. 貯蓄と投資は異なるもの
  3. 知っておきたい3つのお金
    1. 1. いつでも使えるお金(流動性資金)
    2. 2. しっかりと貯めるお金(安定性資金)
    3. 3. じっくりと増やすお金(収益性資金)
    4. 流動性・安定性・収益性の関係
  4. 避けたいボーナスの使い方
    1. ボーナスをアテにした出費の返済や赤字の補てん
    2. 有効活用できないものの衝動買い
  5. ボーナスを有効活用する方法
    1. 親やお世話になった人に贈り物をする
    2. 一部は貯蓄に回す
    3. 一部は投資に回す
    4. 一部は自己投資(スキルアップ)に回す
    5. 一部は自分のご褒美に使ってもOK
  6. パターン別のボーナスの使い方
    1. 独身の場合
    2. 結婚など大きなライフイベントを控えている場合
    3. 結婚して子どもがいる場合
    4. 住宅ローンを組んでいる場合
  7. 状況に応じた有意義なボーナスの使い方を実践する

ボーナスの平均額を紹介 みんなはどれくらいもらっている?

ボーナス,使い道
(画像=PIXTA)

周りの人がどれくらいボーナスをもらっているのか、気になる人も多いのではないだろうか。しかし、収入に関することは堂々と聞きづらいものだ。

そこで厚生労働省が発表している「毎月勤労統計調査」から読み解いてみよう。令和2年(2020年)の「夏のボーナス」と「冬のボーナス」の支給平均を確認してみる。

「毎月勤労統計調査 令和2年夏季賞与の結果」によると、令和2年の夏のボーナス(夏季賞与:令和2年6月~令和2年8月の「特別に支払われた給与」のうち、賞与として支給された給与を特別集計したもの)は、一人当たり平均38万3,431円(前年比0.5%増)だった。主な産業について、製造業4.6%減、卸売業・小売業1.9%増、医療・福祉3.1%増となった。

「毎月勤労統計調査 令和3年2月分結果速報等」によると、令和2年の冬のボーナス(年末賞与:令和2年11月~令和3年1月の「特別に支払われた給与」のうち、賞与として支給された給与を特別集計したもの)は、一人当たり平均38万646円(前年比2.6%減)だった。主な産業について、製造業5.5%減、卸売業・小売業1.9%減、医療・福祉2.5%減となった。

まとめると、以下のとおりだ。

 2020年の夏のボーナスの平均  38万3,431円
 2020年の冬のボーナスの平均  38万646円
 2020年のボーナス合計平均額  76万4,077円

なお、この調査は民間企業を対象としており、公務員は含まれていない。

ボーナスの使い道 みんなはどのように使っている?

周りはボーナスをどのように使っているのだろうか。各種アンケートをもとに確認していきたい。

日本生命保険相互会社が発表したアンケート調査

まずは、2020年7月3日に日本生命保険相互会社が発表した「ニッセイ インターネットアンケート 〜「夏のボーナス・新型コロナウイルス感染症の影響」について〜」を見ていこう。

調査対象者の違いから、厚生労働省が発表している「毎月勤労統計調査」とは平均支給額が異なるが、「今回のボーナスを貯蓄・資産形成に回しますか?」(回答数4,870名)という質問に対する結果は以下のとおりだ。

「今回のボーナスを貯蓄・資産形成に回しますか?」(回答数4,870名)

 はい  56.2%
 いいえ  43.8%

半数以上の人が今回のボーナスを「貯蓄・資産形成に回す」と回答している。結婚、出産、住居購入、教育費発生などのライフイベントが発生しやすい30〜40代を見ると、30代は65.0%、40代は61.2%が「はい」と回答している。

また、上記で「はい」と回答した人に「ボーナス全額の何割を貯蓄・資産形成に回しますか?」(回答者2,738名)と質問した。

「ボーナス全額の何割を貯蓄・資産形成に回しますか?」(回答者2,738名)




 1〜2割未満  20.6%
 2〜4割未満  17.8%
 4〜6割未満  19.5%
 6〜8割未満  13.7%
 8〜10割未満  12.5%
 10割(全額)  15.9%

比較的回答がばらけた結果となった。ただ、「貯蓄・資産形成以外で主に何に使いますか?」(回答数4,870名)という質問に対する1位の回答が「生活費の補てん(28.1%)」であったため、「貯蓄や資産形成にできるだけ多く回したいが、生活費の補てんが必要なため、多くは回せなかった」という人が一定数いることが予想される。

プロパティエージェント株式会社が発表したアンケート調査

続いて、プロパティエージェント株式会社が2020年12月11日に発表した「【2020年】今年のボーナスの使い道を既婚男女1,038人が回答!コロナ禍における使い道の変化とは!?」の調査結果を確認する。

このアンケート調査では、ボーナスのある民間企業に従事している既婚男女(子どもの有無別)を対象に、例年と2020年のボーナスの使い道を聞いた。

子どもがいる人の2020年の使い道は以下のとおりだ。

子どもがいる人の2020年のボーナスの使い道


 1位  貯蓄(52.2%)
 2位  生活費に充てる(32.6%)
 3位  ローンの支払い(24.7%)
 (中略)   (中略)
 8位   投資(10.4%)

続いて、子どもがいない人の2020年の使い道は以下のとおりだ。

子どもがいない人の2020年のボーナスの使い道


 1位  貯蓄(55.8%)
 2位  商品・サービス購入(23.3%)
 3位  旅行・レジャー(14.5%)
 (中略)   (中略)
 7位  投資(11.7%)

数字に若干の違いはあるものの、どちらも1位は「貯蓄」となった。子どもがいる人のほうが、生活費がかさみやすかったり、不動産(マイホーム)を所有している可能性が高い。そのため、2位と3位が「生活費に充てる」「ローンの支払い」となっているのは納得の結果ともいえるだろう。

また、どちらも「貯蓄」と回答した人が50%を超え、「投資」と回答した人が10%強であった。前述の「ニッセイ インターネットアンケート」の結果を加味しても、多くの人がボーナスを貯蓄や資産形成に回している実態がうかがえる。

貯蓄と投資は異なるもの

プロパティエージェント株式会社のアンケートでは「貯蓄」、「投資」が別の回答として集計されている。この2つはどのような違いがあるのだろうか。基本的には、「貯蓄はお金を貯めること」、「投資はお金を増やすこと」を目的にしていると考えれば良いだろう。

すでにしっかりと区分けができているという人は問題ないが、「あまり区別できずに何となく一つの銀行口座にお金が積み上がってしまっている」という人もいるかもしれない。ここからは、目的に合ったお金の持ち方について考えてみよう。

知っておきたい3つのお金

上手に貯蓄・資産形成・投資をするためには、まず、自分が持っているお金の色分けをすることが大切だ。使い道(目的)と使う時期に応じて、お金は大きく以下の3つに色分けできる。

1. いつでも使えるお金(流動性資金)

日常における生活費や、突然の怪我や病気など急な出費があったときのために、すぐに使えるようにしておくお金だ。換金性(流動性)が重要なため、銀行の普通預金で管理しておくと良いだろう。

すぐに引き出せなかったり、中途解約ができなかったり、解約できたとしても手数料(費用)が高くかかったりする金融商品は、流動性の高い商品とはいえない。一般的に、流動性資金として用意しておくべき金額は、生活費の3ヵ月程度といわれている。

2. しっかりと貯めるお金(安定性資金)

安全性資金ともいえる。結婚資金、子どもの入学資金、マイホームの購入資金(頭金)など、将来使う目的や時期が決まっているお金で、元本を減らさないように堅実に増やすことが重要だ。

高い収益が見込める金融商品であっても、元本割れを起こす可能性のあるものは「安定性(安全性)」という観点からは優れた商品ではない。このようなお金は、定期預金(貯金)、個人向け国債などで保有すると良いだろう。

また、預金保険(ペイオフ)の対象であるかどうかということも、金融商品の安全性を考える上で重要だ。

3. じっくりと増やすお金(収益性資金)

将来必要になる老後資金や当面は使う予定のないお金は、収益性が高い金融商品で保有しても良いだろう。具体的には株式・社債・投資信託・外貨預金・収益不動産などが挙げられる。

もちろん、これらは収益性が高い一方、相応のリスクがあるため、十分にリスクを把握した上で保有したい。原則として、長期目線を持つべき資金といえるだろう。

流動性・安定性・収益性の関係

流動性・安定性(安全性)・収益性の3つを兼ね備えた万能な金融商品は存在しない。収益性が高い金融商品は流動性が低い場合が多く、安定性が高い金融商品は収益性が低い場合が多い。ただし、普通預金のように、流動性と安定性は共存できる関係にある。

避けたいボーナスの使い方

ここからは、避けたいボーナスの使い方について整理していこう。

ボーナスをアテにした出費の返済や赤字の補てん

ボーナスをアテにした出費の返済や赤字の補てんは避けたい。一般的に、ボーナスは変動が大きく、景気や所属企業の業績が良くないときは減額されてしまう。最悪の場合、支給されないこともある。すでにボーナスをアテにした出費の返済や赤字の補てんがある場合は、今回のボーナスを返済や補てんに回すほかないが、次回以降はそうならないようにしたい。

普段の支払いで安易にボーナス払いや分割払いを利用している人は、ボーナスを除いた毎月の収入(給料)の中で消費をするという癖をつけよう。ボーナスをアテにした返済や補てんがあるということは、実質的に家計が破綻していると認識するべきだ。

有効活用できないものの衝動買い

大きな額のボーナスが入ると、気が大きくなり、そこまで有効活用できないものにお金を使ってしまいがちだ。がんばった自分にご褒美をあげたい気持ちはわかるが、「今買おうとしているものは、本当に今後も長く有効活用できるものなのだろうか」と自分に問いかけてから購入したい。

ボーナスを有効活用する方法

ここからは、ボーナスを有効活用する方法を紹介する。

親やお世話になった人に贈り物をする

親やお世話になった人に贈り物をすることは素晴らしいことだ。特に新社会人の場合は、初めてのボーナスで親にプレゼントを贈ると、お互いにとって一生の思い出になるだろう。形に残るものでも良いが、一緒に旅行に行ったり、食事したりするのも良いだろう。

一部は貯蓄に回す

年齢や家族構成、生活水準にもよるが、一定割合を貯蓄に回すのも良いだろう。この場合の貯蓄とは、前述の安定性資金を指している。流動性資金が生活費の3ヵ月分貯まっていない人は、そちらを優先的に貯めるようにしたい。

一部は投資に回す

流動性資金がしっかりと準備されていて、安定性資金の貯蓄も進んでいるようであれば、一部は投資に回すのも良いだろう。この場合の投資とは、前述の収益性資金を指している。

長期目線の老後資金づくりであれば「iDeCo」、中期目線の資金づくりであれば「つみたてNISA」などを活用することも検討したい。

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)とは、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金の制度だ。掛金、運用益、そして給付を受け取るときに、税制上の優遇措置が講じられている。

つみたてNISAとは、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度だ。一定の投資信託への投資から得られる分配金や譲渡益が非課税となる。どちらも税金の優遇があるため、通常の投資より、相対的に有利に資産形成ができるだろう。

一部は自己投資(スキルアップ)に回す

貯蓄や投資も重要だが、自己投資(スキルアップ)にお金を投じることも重要だ。新たなスキルを身につけたり、資格を取得したり、人脈を広げたりすることで、自分の収入増加につながる。収入が上がると可処分所得が増え、貯蓄や投資に回せる資金も増やせるだろう。

流動性資金や安定性資金の貯まり具合とのバランスを考えながら、スキル・知識・資格・信用・人脈・健康といった人的資本(ヒューマンキャピタル)が大きくなることへの自己投資も進めていこう。特に若ければ若いほど回収期間が長いため、若い人ほど自己投資に回すことがおすすめだ。

一部は自分のご褒美に使ってもOK

一部は、以前から買いたかったブランド品や、行きたかった場所への旅行代など、自分のご褒美に回しても良いだろう。そのような健全な支出をすることで、衝動買いのような無駄な出費を抑えることができるだろう。また、仕事をますますがんばろうというモチベーションアップにつながる効果もあるはずだ。旅行や新しい体験に使う場合は、見聞が広がることも期待できる。

パターン別のボーナスの使い方

ここからはパターン別のボーナスの使い方について見ていこう。

なお大前提として、誰にでも突然の怪我や病気など急な出費の可能性はあるため、生活費の3ヵ月分の流動性資金は確保しておきたい。それを確保していることを前提に、どのように使うべきかを考えていく。

独身の場合

生活水準にもよるが、独身は教育費や扶養家族の生活費負担がないため、可処分所得に対する「自由に使えるお金」の割合が高い場合が多い。したがって、できれば大部分を資産形成か自己投資に使いたい。

結婚資金の準備やマイホーム取得など明確な目的がない限り、株式や投資信託など収益性の高い金融商品に回す割合を高めても良いだろう。

結婚など大きなライフイベントを控えている場合

結婚や出産など大きなライフイベントを控えている場合は、できるだけ多くの割合を安定性資金に回したい。そのようなライフイベントは「いくらくらいかかる」と試算できることが多いため、すでに十分な資金を確保している場合は、別のことに使っても良いだろう。

結婚して子どもがいる場合

結婚して子どもがいる場合は、「毎月のお給料はほとんど生活費に消えていくので貯蓄ができておらず、まとまった資金が入ってくるボーナスが貯蓄の頼みの綱」という場合もあるだろう。

そのような場合は、できる限り多く安定性資金に回したい。まだ小さな子どもの大学の入学金や学費を準備する場合は、10年や15年のタイムスパンがあるため、株式や投資信託など収益性の高い金融商品で積み立てていくことも視野に入れておくと良いだろう。

住宅ローンを組んでいる場合

住宅ローンを組んでいる場合、「繰り上げ返済した方が良いのだろうか」と迷うケースもあるだろう。

実際に、前述のプロパティエージェント株式会社が公表した「子どもがいる人の2020年のボーナスの使い道」の3位は「ローンの支払い」であった。中には、収益不動産の不動産投資ローンの繰り上げ返済を指している回答があるかもしれないが、広義の住宅ローン返済と捉えて良いだろう。

住宅ローンを組んでいる場合に繰り上げ返済をすべきか否かは、ボーナスの金額、借入金利の高低、借入人の年齢などにもよるが、一般論として家計に余裕がある場合を除き、繰り上げ返済はしない方が良いと思われる。

繰り上げ返済をすると、その後の返済負担が減ることは事実だが、いざまとまった資金が必要になったときに「銀行さん、やっぱり以前繰り上げ返済した資金を返してくれませんか」ということはできない。

各人の状況によるため一概にはいえないが、大きなライフイベントをすべて消化するまで、できる限り資金は手元に確保しておいた方が良いのではないだろうか。

状況に応じた有意義なボーナスの使い方を実践する

この記事では、一般的なボーナスの平均額や周りはどのようにボーナスを使っているのか、知っておきたい3つのお金について解説してきた。また、避けたいボーナスの使い方やボーナスを有効活用する方法、パターン別のボーナスの使い方などにも触れた。

給料とは別にまとまった資金が手に入るボーナスは、家計管理における重要なイベントだ。3つのお金の色分けをよく理解して、各人の状況に応じた有意義なボーナスの使い方を実践していこう。