早期リタイアというと「お金持ちの特権」というイメージがあるかもしれないが、生活を送る上で十分な不労所得源を確保できれば、20代や30代でリタイアすることもできる。これが、米国で一大ムーブメントを巻き起こした「F.I.R.E(経済的自立早期リタイア)」の概念だ。近年は、高齢者(65歳以上)の労働人口が増加傾向にある日本でも注目されている。

この記事では「F.I.R.E」のために必要な資金について解説していく。

目次

  1. F.I.R.Eとは何か
  2. 「4%のルール」の注意点
  3. 不労所得で生活するF.I.R.Eにはどれくらいの資金が必要?
    1. シナリオ1:不労所得なし 貯蓄・年金のみでリタイアを目指す場合
    2. シナリオ2:不労所得あり「4%のルール」を実践する場合
  4. 不労所得を得る5つの方法
    1. (1)株・債券・FX(外国為替証拠金取引)
    2. (2)不動産
    3. (3)預金
    4. (4)ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)
    5. (5)その他
  5. 経済的にも精神的にもゆとりのあるリタイアメントライフを

F.I.R.Eとは何か

F.I.R.E,資金
(画像=PIXTA)

F.I.R.E とは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字をとった造語で、不労所得で生計を立てることで経済的に自立し、早期リタイアを目指すというものである。

早期リタイアのために必要な生活費を全額確保するのは骨が折れる上に、「いつ貯蓄が底をつくか」という不安と背中合わせの日々を過ごすことになるかもしれない。しかし、長期的かつ持続的な収入を生み出す仕組みを作っておけば、年齢にかかわらず、資産を減らさずに運用利益で生活することは可能だ。

「4%のルール」の注意点

「4%のルール」は、米国で広範囲に知られているF.I.R.E実現の手段だ。資産を運用して利益を得ると同時に、年間支出額を投資元本の4%以内に抑えることで、老後30年間以上は安定した生活を送ることができるという。

ただし、このルールにはいくつかの注意点がある。一つ目は、年間支出額の25倍以上の投資元本があること。つまり、先立つものが必要になる。二つ目は、「4%」という数字が、米国の株式市場の年間平均成長率を7%、米国のインフレ率を3%と想定して算出されている点だ。また、1926~1976年までの株式及び債券のリターンに関する、古い履歴データに基づくものであるため、「近年の市場環境に適していない」と異論を唱える専門家もいる。三つ目は、従来の退職適齢期(65歳以上)に焦点を当てているため、「早期リタイアには不向き」との指摘があることだ。

F.I.R.Eの実現を目指す人は、このような背景を考慮して、近年の日本の市場環境やライフスタイルに合わせたポートフォリオを組む必要があるだろう。

不労所得で生活するF.I.R.Eにはどれくらいの資金が必要?

実際のところ、早期リタイア後に不労所得で生活していくためには、いくら必要なのか。目安を知る上で、まずは自分の支出額を把握する必要がある。支出額から逆算した額が必要となる金額だ。以下、50歳でリタイアして、90歳まで毎月30万円で生活する場合において不労所得なし・ありのパターンをシミュレーションしてみよう。

シナリオ1:不労所得なし 貯蓄・年金のみでリタイアを目指す場合

リタイア後の支出 (一ヵ月30万円×12ヵ月)×40年=1億4,400万円

早期リタイア後に不労所得なしで生活していくためには、単純に計算して1億4,400万円が必要になる。65歳からは公的年金を受け取れるため、その分を差し引く。ここでは、厚生労働省の「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、厚生年金(国民年金含む)の受給額を一ヵ月約14万7,000円と想定する。

受け取れる公的年金 (一ヵ月約14万7,000円×12ヵ月)×25年=4,410万円 必要な資金 1億4,400万円-4,410万円=9,990万円

つまり、9,990万円の貯蓄があれば、年金と合わせて月30万円の生活ができるということだ。ただし、40年後には貯蓄は底をつきているため、それ以上長生きした場合は公的年金のみで暮らして行くことになる。

シナリオ2:不労所得あり「4%のルール」を実践する場合

必要な投資元本 (一ヵ月30万円×12ヵ月)×25=9,000万円 年間4%で運用した場合の利益 9,000万円×4%=年間360万円

9,000万円を4%で運用すると、月30万円の利益が得られる。年間の支出が4%を上回らないように注意すれば、投資元本が減ることはない。

もっとも、両シナリオともあくまでシミュレーションであり、この計算どおりに行く保証はないが、目安を知るための参考にはなるはずだ。

不労所得を得る5つの方法

大まかに資金について把握したら、次は不労所得の手段について検討したい。不労所得の前提として、利益にはキャピタルゲイン(保有している資産を売却することで得られる売却益)と、インカムゲイン(株の配当や不動産の家賃収入など、継続的に得られる収益)がある。

(1)株・債券・FX(外国為替証拠金取引)

値上がりしたときに売却すれば売買差益でキャピタルゲインが得られ、保有しておけば配当やスワップポイント(金利差調整分)でインカムゲインを狙える。

(2)不動産

売却でキャピタルゲイン、家賃収入でインカムゲインが得られる。

(3)預金

預け入れ額に応じて支払われる金利からインカムゲインが得られるが、超低金利時代の今、大きな利益は期待できない。

(4)ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)

マッチングプラットフォームを介してお金を借りたい人に融資を行い、運用収益に応じた普通分配金からインカムゲインを得る。「1万円という少額から高利回りを狙える資産運用法」として近年注目されているが、貸し倒れ発生のリスクには注意が必要だ。

(5)その他

売上金額の数%程度が収入になる自動販売機やコインロッカーの設置、車や駐車場、ゴルフバッグやゲームなど、使っていない所有物をレンタルするシェアリングビジネスなど、他にもさまざまな不労所得源がある。

経済的にも精神的にもゆとりのあるリタイアメントライフを

頑張って貯蓄をして早期リタイアをしても、貯蓄を切り崩す生活では心細い。「早期リタイアするために貯蓄する」というステレオタイプな発想から、「資産運用しながら早期リタイアする」という柔軟な発想に転換することで、経済的にも精神的にもゆとりのあるリタイアメントライフを手に入れることができるのではないだろうか。