プライベートバンクの顧客になるには、いくらの資産が必要か?
(画像=Nuthawut/stock.adobe.com)

プライベートバンクの顧客になるには「1億円の資産が目安」といわれています。しかし資産の種類によっては1億円の資産があっても顧客になれないこともあるようです。また日本と海外では、事情が変わってくる一面もあります。本稿では、プライベートバンクの顧客になるために「どのような資産がいくらあればいいのか」「日本と海外では具体的にどのような違いがあるのか」について解説します。

日本のプライベートバンクと海外のプライベートバンクの違い

本稿のメインテーマ「プライベートバンクの顧客になるには、いくらの資産が必要か?」について解説する前にまず日本と海外のプライベートバンクの違いを整理しておきましょう。なぜなら両者の違いを理解しておかないと混乱してしまいかねないからです。端的にいうと以下のような違いがあります。

  • 日本のプライベートバンク:金融機関の一部門
  • 海外の伝統的なプライベートバンク:顧客の資産を守ることに特化した金融機関

詳しくは、以下の通りです。

日本のプライベートバンク:知名度の高い金融機関の一部門

野村證券でプライベートバンク部門(ウェルス・マネジメント部門)の勤務経験のある株式会社ZUUの代表取締役社長兼CEOの冨田和成氏は、著書『プライベートバンクは、富裕層に何を教えているのか?』の中で日本のプライベートバンクの具体例として以下の金融機関を挙げています。

証券会社 野村證券、大和証券、SMBC日興証券、
みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレーPB証券
香川証券 など
メガバンク 三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行
信託銀行 SMBC信託銀行、三菱UFJ信託銀行、
三井住友信託銀行 など
その他 りそな銀行、千葉銀行、静岡銀行、琉球銀行、
十六銀行、横浜銀行 など

引用:冨田和成著『プライベートバンクは、富裕層に何を教えているのか?』

上記の表で分かる通り知名度のある金融機関の名前が並んでいます。つまり日本のプライベートバンクは、有力金融機関の「富裕層向けの一部門」というわけです。これらの日本のプライベートバンクと取引をすると富裕層に合った金融商品(投資信託や仕組債など)の提案を受けることができたり富裕層向けの金融商品の情報を効率的に得られたりするベネフィットがあります。

海外のプライベートバンク:大手銀行の一部門と伝統的なプライベートバンクがある

厳密にいうと海外のプライベートバンクは、大きく分けると「大手銀行の一部門となるプライベートバンク」「スイスなどに多い伝統的なプライベートバンク」の2種類があります。

  • 大手銀行の一部門のプライベートバンク
    大手銀行の一部門のプライベートバンクは、日本のプライベートバンクに近いポジションの傾向です。外資系金融機関での勤務経験があり海外のプライベートバンクと直接接してきた篠田丈氏は、著書の中で以下のように語っています。

「スイスのプライベートバンクというと日本人が最初に思い浮かべるであろうクレディ・スイスやUBSといった有名な銀行は、現地ではプライベートバンクとして認識されていません。それは、クレディ・スイスやUBSが多くのビジネスを同時に行う大銀行であり、プライベートバンクは、その一部門に過ぎないからです」
引用:篠田丈著『プライベートバンクの嘘と真実』

  • スイスなど伝統的なプライベートバンク
    金融機関の1部門となるプライベートバンクの場合、利益の源泉は金融商品を販売したときのフィーです。一方、スイスなど伝統的なプライベートバンクの利益の源泉は、顧客の資産を守るための運用に対するフィーです。篠田氏の上記の著作に基づくと伝統的なプライベートバンクは原則自社の金融商品を開発しません。

顧客のニーズと資産構成に沿って世界中の金融商品の中から対象となる顧客にふさわしいものを提案します。その際も「手数料が高い金融商品」ではなく「顧客のニーズと資産構成に合った金融商品」を勧めてくるのが一般的です。

プライベートバンクの顧客になるにはいくら必要か

ここまで解説したように日本のプライベートバンクと海外の伝統的なプライベートバンクでは、性格やサービス内容が異なるのが特徴です。さらにどちらを選ぶかで「顧客になるにはいくらの資産が必要か」といった基準となる資産も異なります。

日本のプライベートバンクの場合:目安は流動資産で1億円

  • あくまでも“流動資産で”1億円以上が基準になる
    冨田和成氏は、野村證券のプライベートバンク部門に勤務していたときの経験をもとに「プライベートバンクの顧客となるためには現金や有価証券といったいわゆる流動資産で1億円以上」という目安を示しています。注意したいのは、あくまでも現金化しやすい「流動資産で1億円以上」という部分です。つまり不動産や中小企業の自社株などで1億円以上の資産を所有していても流動資産が1億円以上なければプライベートバンクの顧客にはなりにくいことになります。

  • 世の中には目に見えない「1億円の壁」がある
    プライベートバンクの顧客になるには「1億円以上の資産がなければならない」とどこかに明記されているわけではありません。冨田氏は、1億円以上の資産を持つようになると「まるで車のギアを1段、2段上げるかのように金融機関の対応が変わる」と述べています。

また1億円の壁があるのは、プライベートバンクや金融機関に限らず「会員制のゴルフ場」「空港のファーストクラスのラウンジ」「超高級リゾートホテル」なども同様とのことです。1億円の壁は、たしかに存在し「そこを突破するかしないかで扱いが変わり、見える世界も変わります」と冨田氏は解説しています。
引用・参照:冨田和成著『プライベートバンクは、富裕層に何を教えているのか?』

海外の伝統的なプライベートバンクの場合:資産以外の部分も大切

海外の伝統的なプライベートバンクも顧客になるには、億円単位(約100万米ドル)の資産を所有していることが前提です。ただ海外の伝統的なプライベートバンクの場合「資産が多ければ、すぐに顧客になれる」というわけではありません。篠田丈氏は、著作で某プライベートバンクの取締役に聞いた話として資産数百億円のインドの富豪から新規口座の開設申し込みがあったとき断ったエピソードを紹介。

ネックになったのは、プライベートバンク口座の使用目的です。その富豪が用途を「スイスに留学している息子が車やブランド品を買うため」と答えたことが問題となり断ったとのこと。甘やかされた子どもの世代になったとき取引し続けられるか疑問とプライベートバンクが判断したそうです。

このように海外の伝統的なプライベートバンクの場合、「信頼関係を築き、何十年にもわたって付き合っていける相手か」を見極めたうえで取引開始を決めるケースもあります。
引用・参照:篠田丈著『プライベートバンクの嘘と真実』

選ぶべきは、日本のプライベートバンク?海外のプライベートバンク?

ここまでの内容で日本のプライベートバンクと海外の伝統的なプライベートバンクの大きな違いについては理解できたでしょうか。問題は、富裕層の人が実際に利用するときに「どちらのプライベートバンクを選択したほうがよいか」という点です。日本のプライベートバンクと相性がよいのは「富裕層に合った金融商品の情報が欲しい」「資産額に見合ったハイクラスのサービスを受けたい」という人でしょう。

一方で海外の伝統的なプライベートバンクと相性がよいのは「一族にしっかりと資産を継承したい」という考え方の富裕層です。どちらのプライベートバンクが良い悪いということではありません。最終的に顧客側がプライベートバンクに何を求めているかがポイントです。

(提供:THE Roots

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