海外旅行ではクレジットカードによるショッピングが便利だが、現金が必要な場面もある。そのようなときに利用したいのがATMから現地通貨を出金できる海外キャッシングだ。ここでは外貨両替との比較のほか、海外キャッシング向きのカードも紹介する。

1,クレジットカードの「海外キャッシング」とはどのような機能なのか?

海外キャッシングにおすすめのクレジットカード5枚を比較
(画像=Jurgen Fälchle/stock.adobe.com)

海外キャッシング(海外キャッシュサービス)とは、クレジットカードを使い海外のATMで現地通貨をキャッシングする機能のことをいう。キャッシングというと借金のイメージもあるが、海外では安全に現地通貨を手にする手段として非常に重宝する。

ここではまず、海外キャッシングのメリットについて紹介しよう。

メリット1,安心・手軽に現地通貨を入手できる

海外の多くの国は日本に比べると治安が悪いため、多額の現金を持ち歩くことには危険性が伴う。また万が一、盗難に遭った場合の損害も大きい。その点、海外キャッシングを利用すると多くの現金を持ち歩く必要がなく、カードが盗難に遭った際もすぐに利用停止にすればそれ以上の被害を未然に防げる。

メリット2,世界中で使うことができる

クレジットカードの海外キャッシングを利用できるATMは、世界中に設置されている。利用可能なATMは空港や銀行のほか、主要ショッピングモールやコンビニエンスストアなど多くの場所で見つかるので、利用に困ることはないだろう。

メリット3,為替レートがお得なことがある

海外キャッシングの両替レートは、カードの利用データが決済センターに到着した日(通常は数日後)の実勢レートとなる。後述するが、このレートは銀行や両替所よりもお得な場合が多い。

2,海外キャッシングと外貨両替はどちらがお得か?裏技も紹介

では、海外キャッシングと、銀行や外貨両替所で現金を両替する場合ではどちらがお得なのか?

海外キャッシングの方が手数料などは安い

三井住友カードの公式サイトには、一例として「両替レート1米ドル=100円」「キャッシング金利(実質年率)18.0%」の条件で1,000米ドルを海外キャッシングして30日後に返済するケースが紹介されている。

この場合、1,000ドル=10万円となり、30日間の利息は約1,470円となる。一方、外貨両替所で10万円分をドルに両替した場合、手数料は平均3,000円ほどと試算されている。ATMの手数料は三井住友カードの場合、1万円以下の利用で110円(税込)、1万円超で220円(税込)となっており、いずれにせよ海外キャッシングの方が割安だ。

海外キャッシング 現金による外貨両替
両替する日本円 10万円 10万円
利息・手数料 1,470円 3,000円
ATM手数料(1回分) 220円
1,000ドルを用立てるのに
必要な日本円の合計
10万1,690円 10万3,000円
(※筆者作成)

海外キャッシングの方が両替レートもお得

この試算では為替レートを単純に1ドル100円としたが、実際には銀行や外貨両替所のレートとクレジットカードのレートは異なる。クレジットカードでは国際ブランドごとに「基準レート」というものが設定されており、これは為替レートにそれぞれの両替手数料を上乗せしたものとなる。

次に、VISA、MasterCard、JCBの基準レートと、銀行(みずほ銀行)、成田空港などにある両替所(トラベレックス)のレートを紹介しよう(2020年10月現在、円→米ドル)。

国際ブランド・
両替場所
1米ドルへの両替に
必要な日本円
VISA 105.77円
MasterCard 105.66円
JCB 105.63円
みずほ銀行 108.57円
トラベレックス 109.19円
(※各社ホームページを元に筆者作成)

これを見ても分かるように、銀行や外貨両替所よりも海外キャッシングの両替レートの方がお得となっている。

米ドル以外の通貨ではさらにお得なケースも

米ドルやユーロ以外の通貨、特にマイナーな通貨に関しては、海外キャッシングの方が特にお得なケースが多い。例えばエポスカードの公式サイトには、現地通貨を日本で5万円分用立てるケースでの両替手数料などが紹介されている(2019年7月時点、キャッシング分は30日後に一括返済)。

両替手数料など

両替先通貨 海外キャッシング 銀行・空港両替所で両替
タイバーツ 959円
(海外ATM手数料220円+利息739円)
5,770円
台湾ドル 7,150円
(※エポスカードのホームページを元に筆者作成)

ここでもやはり、海外キャッシングの方がお得なことが分かる。

海外キャッシングがさらにお得になる裏ワザとは?

海外キャッシングはいわば借金なので、利息が発生する。ここでは30日間の利息で計算したが、カード利用代金の支払日は最長で約2ヵ月後になることもあり、支払日が遅くなればなるほど返済総額は増えてしまう。

そこで、その利息を少しでも安くするには、毎月のカード利用代金の支払日前に返済する「繰り上げ返済(事前返済)」の利用を検討すると良いだろう。

繰り上げ返済は一般的に指定された口座への振込となるが、この時に利用したいのが、利用状況などの条件クリアにより毎月、振込手数料の無料回数が決まる仕組みのある一部のネット銀行だ。海外キャッシングの機会の多い人は、この繰り上げ返済とネット銀行の振込手数料無料サービスを上手に活用すると非常にお得なのでぜひ覚えておいてほしい。

3,海外キャッシング利用に必要な3つの事前準備は?

海外キャッシングをする場合、基本的には事前の申し込みなどは必要ない。ただし、次に挙げることに注意して準備を整えておきたい。

準備1,キャッシング利用枠の確認

一部のクレジットカードにはキャッシング枠が存在せず、その場合、国内でも海外でもキャッシングはできない。また、複数枚のクレジットカードを持っている場合、審査に通りやすくするために「キャッシング枠0円」で申し込んだ人もいるかもしれない。

そのほか、海外で必要とする金額に比べてキャッシング枠の金額が小さいということもあるだろう。その場合、事前に増枠を申し込む必要がある。また、一部のカード会社では一時的な増枠も可能となっている。

そうしたケースを念頭に置いて、海外へ渡航する前に改めてキャッシング枠の有無や利用可能枠を確認しておこう。

準備2,海外キャッシング設定の必要性を確認する

まれに、あらかじめ海外キャッシングができるように設定しなければならないクレジットカードもある。自分が持っているクレジットカードに付いてきた説明書や公式サイトなどの海外キャッシングのコーナーを確認し、そうした設定が必要かどうか確認しておこう。

準備3,暗証番号を確認する

ネットショッピングでのカード利用が主で、店舗での利用が少ない人は、数字4ケタの暗証番号を覚えていないことがある。海外キャッシングではATMで暗証番号を入力する必要があるので、渡航前に確認しておきたい。ただし、メモをとってカードと一緒にすると、逆に盗難時のリスクが増す。頭の中にしっかり記憶しておくのがベストだ。

さらに、盗難やカード破損などのトラブルが発生した場合に備えて、カード会社の海外連絡先を、財布などとは別にメモとして持っておきたい。

4,海外キャッシング用クレジットカードの5つの選び方・ポイント

次に海外キャッシングに利用するクレジットカードを選ぶ際の要点について説明しよう。

選び方1,国際ブランドはVISA、MasterCard、JCBのいずれかを選ぶ

当然のことだが、海外キャッシングで利用するATMは国際ブランドに対応したものでなければならない。そして、ほとんどのATMではほぼ確実にVISAとMasterCardに対応している。

一方、JCBに関しても日本人が一般的に渡航するような国の主要銀行のATMなら対応していると考えてよい。JCBのカードのうち「Cirrus(シーラス)」マークの入ったものは、MasterCardに対応しているほとんどのATMで利用できる。

ATMのマークと利用できる国際ブランドの対応関係は次のようになっている。

国際ブランド 利用可能なATM(マーク)
VISA VISA
PLUS(プラス)
MasterCard MasterCard
Cirrus(シーラス)
JCB Cirrusマークなし JCB
Cirrusマークあり JCB
Cirrus
(※各社ホームページを元に筆者作成)

なお、国際ブランドのうち、アメリカン・エキスプレスとダイナースクラブについては、対応するATMが比較的少ないので、海外キャッシング用途には避けた方が無難だ。

選び方2,基準レートがお得な国際ブランドを選ぶ

先に紹介した、国際ブランドごとの基準レートについても意識してみよう。

傾向としては、MasterCardとJCBがほぼ同じで、VISAは少しレートが良くない印象だ。ただし、この順列は変わることもあるので、例えばVISAとMasterCardのどちらにするか迷った場合の判断材料にする程度のことで良い。

選び方3,ATM手数料の有無を意識する

安全面を考えると一度に多額を出金するのではなく、そのつど必要な分だけをこまめに出金した方がいい。しかし、そうなると気になるのがATM手数料だ。

海外キャッシングのATM手数料は通常、1万円以下で110円(税込)、1万円以上で220円(税込)となるが、JCBの自社発行カードのほか、セディナ(現・SMBCファイナンスサービス)、アプラス、ジャックスなどが発行するカードに関しては、ATM手数料はかからない。

なお、ATMに現地のATM手数料が表示されても、それは支払う必要がなくキャッシング分の返済時にも加算されることはないので気にしなくていい。

選び方4,繰り上げ返済が容易なものを選ぶ

先に紹介したように、海外キャッシングをお得に利用するには、その利用分を早めに繰り上げ返済することが重要だ。

繰り上げ返済の方法には主に、

①コンビニエンスストアや銀行のATMから任意に返済
②カード会社に電話して指定口座に振込
③カード会社の自アカウントから返済

という3つがある。

このうち、①は帰国後でないとできないので渡航中は不可。②はネットバンキング利用により渡航中の返済も可能だが、国際通話の電話代がかかってしまう。③に関してはセディナのカードが対応。「Pay-easy(ペイジー)」の仕組みによりネットだけで返済を完結させられるため、渡航中でも早期の対応が可能だ。

選び方5,リボ払い専用カードには注意

リボ払い専用カードは、ポイントサービスや付帯保険の面でお得な内容になっていることが多い反面、基本がリボ払いなので普通に使っているとリボ手数料がかかってしまう。

それを回避するには、毎月のリボ支払額をカード利用限度枠いっぱいまで上げて実質的な一括払いカードにしたり、繰り上げ返済をしたりしてリボ手数料がかからない工夫が必要となる。

それが難しいと感じたり面倒だったりするなら、リボ払い専用カードは選ばない方が無難だ。

5,海外キャッシングにおすすめのクレジットカード5選

では、上記の選び方を踏まえた上で、海外キャッシングにおすすめのクレジットカードを5つ紹介しよう。なお、ここではお得さを最優先し、年会費が無料か実質無料のカードのみとした。

5-1,セディナカード――早期繰り上げ返済で利息を抑えられる

国際ブランド VISA
MasterCard
JCB
年会費 無料
家族会員無料
海外ATM手数料 無料
キャッシング金利 実質年率18.0%
(100万円未満)
備考 ネットからの早期繰り上げ返済可能
海外ショッピングポイント1.5倍
年間50万円限度のショッピング保険
(※セディナカードのホームページを元に筆者作成)

「セディナカード」は年会費無料。VISA、MasterCard、JCBから国際ブランドを選べ、海外キャッシング時のATM手数料は無料となる。キャッシング金利は年18.0%と一般的だが、ネットから繰り上げ返済が可能なので、渡航中に返済してしまえばキャッシング利息を最小限に抑えられてお得だ。

・海外旅行でお得なポイントサービス

クレジット利用に対するポイント還元率は通常0.5%となっており、決して高い方ではない。ただし、海外ショッピング利用分は1.5倍の0.75%還元となるほか、カード加入後3ヵ月間(加入月含め最大4ヵ月)は3倍の1.5%還元となる。なお、ポイント3倍期間の海外ショッピング利用分は3.5倍の1.75%還元となり非常にお得だ。

海外旅行では当然、渡航先でのショッピング利用も多くなるので、渡航の少し前にカードを作ると高還元率ポイントの恩恵も受けられることになる。なお、全国のセブン-イレブンでは常時ポイント3倍となるほか、年間クレジット利用金額に応じて翌年のポイントが最大1.3倍となるので、上手に使えば高い還元率を狙うことも可能だ。

・ショッピング保険も付帯

カードで購入した商品について購入日から180日間、年間50万円まで破損・盗難などによる損害を補償するショッピング保険が付帯する。そのほか、パッケージツアー割引や各種店舗での優待、三井住友銀行キャッシュカードのATM手数料無料などの特典を利用できる。

・おすすめの人は?

少しでもお得に海外キャッシングを利用したいなら「セディナカード」は最適だ。基準レートや加盟店・ATMシェアを考えるならMasterCardがおすすめだが、すでに同ブランドのカードを持っているなら、VISAやJCBでもいいだろう。

5-2,エポスカード――利息0円のキャッシングも可能

国際ブランド VISA
年会費 無料
※家族カードなし
海外ATM手数料 1万円以下:110円(税込)
1万円超:220円(税込)
キャッシング金利 18.0%
※初回キャッシング分は利息0円可能
備考 最高500万円の海外旅行傷害保険(自動付帯)
最短即日発行可(マルイ店頭で受け取り)
旅行商品ポイント最大5倍
約1万店舗で優待
年4回・各7日間マルイで10%オフ
(※エポスカードのホームページを元に筆者作成)

「エポスカード」は年会費無料で国際ブランドはVISA。海外キャッシング時のATM手数料は有料だが、初めてカードキャッシングを利用する場合は、「30日間金利0円サービス」が適用される。つまり、その初回利用分に関しては多くのケースで利息を0円にすることが可能だ。

・海外で便利&お得なサービスも

クレジット利用に対するポイント還元率は通常0.5%となっており、やはり高い方ではない。ただし、旅行代理店のH.I.S.ウェブサイトで3倍の1.5%還元、日本旅行ウェブサイトで5倍の2.5%還元となる。また、旅行関連の優待として成田空港のサンパーキング38%オフや、ハワイ・台湾・韓国などの優待店舗もあるので、年会費無料ながら海外旅行に比較的強いカードとなっている。

・海外旅行傷害保険が付帯

旅行代金のカード払いの有無にかかわらず、最高500万円の海外旅行傷害保険が付帯。最高補償金額(死亡・後遺障害)は決して高くないが、傷害治療費用は1事故200万円限度、疾病治療費用は1疾病270万円限度となっており、年会費無料カードの付帯保険としてはかなりいい補償内容といっていいだろう。

・おすすめの人は?

初回にまとまった金額をキャッシングするつもりなら、その分の利息を0円にできるこのカードがおすすめだ。国内での優待店舗が非常に多く、マルイの優待も受けられるので日常的な利用でも何かとお得だろう。なお、近くにマルイの店舗があれば申し込み即日の受け取りが可能なので、すぐにカードが必要な場合に便利だ。

5-3,JCB一般カード――海外ATM手数料無料、トラベルサービス・付帯保険も魅力

国際ブランド JCB
年会費 1,375円(税込)
※初年度無料
※条件クリアで翌年無料
家族会員440円(税込)
※本会員が無料の場合、無料
海外ATM手数料 無料
キャッシング金利 15.0~18.0%
備考 海外ショッピングポイント2倍
最高3,000万円の海外・
国内旅行傷害保険(利用付帯)
年間100万円限度のショッピング保険
(※JCBのホームページを元に筆者作成)

「JCB一般カード」の国際ブランドはJCB。年会費は1,375円(税込)だが、オンライン入会の場合は初年度無料となり、ウェブ明細サービスの登録と、年間クレジット利用額50万円(税込)という2つの条件をクリアすると翌年の年会費も無料になる。そこで、年会費実質無料カードと考えていいだろう。なお、海外キャッシング時のATM手数料は無料となる。

・海外ではポイント2倍の1%還元に

クレジット利用に対するポイント還元率は通常0.5%とそこまで高くはないが、海外ショッピング利用分は2倍の1%還元となる。そのほか、セブン-イレブンやAmazonでは3倍の1.5%還元、スターバックスカードへのオンライン入金やオートチャージ分は10倍の5%還元となるので、日常的な利用でもお得だ。

さらに、年間クレジット利用金額に応じて翌年のポイント付与率が最大50%アップ(還元率0.75%)となる仕組みもある。

・最高3,000万円の海外・国内旅行傷害保険が付帯

旅行代金をカード払いすることで、最高3,000万円の海外・国内旅行傷害保険が付帯する。また、カードで購入した商品について購入日から90日間、年間100万円まで偶然の事故による損害を補償するショッピング保険が付帯する(自己負担額:1事故1万円)。

・トラベルサービスが充実

JCBのトラベルサービスとして、海外サービス窓口「JCBプラザ」「JCBプラザ ラウンジ」を利用できるほか、空港宅配優待、空港免税店割引、海外用Wi-Fiルーターレンタルサービス優待、海外レンタカー優待、スーツケース格安レンタル、ハワイのワイキキ-アラモアナ間のシャトルバス無料などの優待を利用できる。

・おすすめの人は?

ATM手数料無料なので、少額の現金をこまめに入手したい人に向いている。トラベルサービスが比較的充実しており、日本人観光客の多い都市ではサービス窓口の「JCBプラザ」が頼りになるので、旅慣れしていない人にもおすすめだ。

5-4,アプラスアクシスカードプラス――ATM手数料無料、高還元率で普段使いにもお得

国際ブランド VISA
JCB
年会費 2,200円(税込)
※初年度無料
※条件クリアで翌年無料
※家族カードなし
海外ATM手数料 無料
キャッシング金利 18.0%
備考 条件クリアにより最大2%還元
各種トラベルサービス付帯
(※アプラスのホームページを元に筆者作成)

「アプラスアクシスカードプラス」の国際ブランドは、VISAかJCBから選べる。年会費は2,200円(税込)だが、初年度は無料で、年間クレジット利用額50万円以上で翌年の年会費も無料になる。そこで、年会費実質無料カードと考えていいだろう。なお、海外キャッシング時のATM手数料は無料となる。

・ポイント還元率通常1%~最高2%

クレジット利用に対するポイント還元率は通常1%と高還元率であり、さらに、年間クレジット利用額50万円以上で1.2%還元、100万円以上で1.5%還元、200万円以上で2%還元となる。ポイント還元率が非常に高いカードと考えて間違いないだろう。

・トラベルサービスが充実

トラベルサービスとして、空港でのコート預かりサービスや手荷物一時預かりサービス、宅配サービス、レンタルモバイルサービスの優待のほか、旅行用品割引、海外レンタカー割引などの優待を受けられる。

・おすすめの人は?

海外キャッシング利用分の一括返済・繰り上げ返済は可能だが、ショッピング利用分の一括払いはできないので注意が必要。利息(手数料)を支払いたくないなら、2回払いを指定すれば一括払いと同じく利息は発生しない。

なお、保険は付帯しないので、旅行傷害保険やショッピング保険が必要な場合は、保険付帯のクレジットカードと併用するなどの工夫が必要となる。

そのように、使い方にある種のコツのいるカードではあるが、そのあたりの仕組みをきちんと理解して適切に管理できれば、ポイント還元率が非常に高いので海外キャッシングだけでなく普段のショッピング利用でも重宝する1枚となってくれるだろう。

5-5,R-styleカード(ジャックス)――ATM手数料無料、利息分をセーブできる

国際ブランド VISA
年会費 1,250円(税別)
※初年度無料
※条件クリアで翌年無料
※家族カードなし
海外ATM手数料 無料
キャッシング金利 15.0%
備考 リボ専用カード(繰り上げ返済可)
最高1,000万円の海外旅行傷害保険
(自動付帯)
各種トラベルサービス付帯
(※ジャックスのホームページを元に筆者作成)

「R-styleカード(ジャックス)」の国際ブランドはVISAとなり、年会費は1,250円(税別)だ。ただし、初年度は無料で、年間1回でもショッピングかキャッシングを利用すれば翌年の年会費も無料になるので、年会費実質無料カードと考えていいだろう。なお、海外キャッシング時のATM手数料は無料となる。

・ポイント還元率1%だが使い方が難しい

ジャックスのクレジットカードではクレジット利用に対するポイント還元率は通常0.5%だが、このカードでは常時ポイント2倍の1%還元だ。なお、12月はポイント5倍の2.5%還元となる。

ただし、留意が必要なのはこのカードがリボ専用カードということだ。リボ払いを回避するには繰り上げ返済をすることになるが、ポイントを計算する時点で支払いが完了している場合、通常の0.5%還元となってしまうので使い方が難しい。

・利息が他社カードより安いことが多い

一方、キャッシングの実質年率が15.0%と一般的なクレジットカードより少し低いのはメリットといっていいだろう。海外キャッシング利用分を帰国後すぐに返済する場合、他社カードと比べて利息がお得になることが多いはずだ。

・最高1,000万円の海外旅行傷害保険が付帯

トラベルサービスとして、海外パッケージツアー割引、海外用Wi-Fiルーターレンタル割引、海外レンタカー割引などの優待を受けられる。また、最高1,000万円の海外旅行傷害保険が、旅行代金のカード払いの有無にかかわらず付帯する。

・おすすめの人は?

キャッシングの金利が年15.0%なので、短期間の旅行なら帰国後すぐに返済すれば利息をかなり抑えられる。そこで、なるべくコストをかけたくない人におすすめだ。

ただし、リボ払い専用カードなので、繰り上げ返済をしないとショッピングでもキャッシングでも自動的にリボ払い手数料(利息)がかかってしまう。リボ払いや繰り上げ返済の仕組みをよく理解していないと扱いが難しいカードといえる。

6,クレジットカードで海外キャッシングする際の5つの注意点

海外キャッシングを利用するときにはいくつか注意点がある。次にそれを紹介しよう。

注意点1,ATMの場所、利用する時間に注意する

スリやひったくりの可能性も考えて道路に面したATMの利用は避けたい。同様の理由で夜間の利用もNGだ。できるだけ、空港や金融機関に設置されたATMを日中に使いたい。空港・金融機関のATMならスキミングなどの被害にも遭いにくいだろう。

注意点2,現金とカードの取り出しは手早く

海外のATMの中にはセキュリティ上の観点から、現金やカードの取り出しが遅い場合、機械の中に回収するものがある。そこで、現金とカードが出てきたらなるべく早く取り出したい。

注意点3,最後に初期画面に戻ったことを確認してATMを離れる

現金とカードを取り出したら、初期画面に戻ったことを確認してからATMを離れる。ATMによっては最後に「FINISH」や「END」を押して初期画面に戻すものもある。

注意点4,レートが表示されたら要注意

一部のATMではレートが表示されるものがある。これは、国際ブランドの基準レートとは異なるもので、こちらが損になるレートなので「Do you wish to use this exchange rate?(この両替レートの利用を希望しますか?)」などと聞かれたら「Yes」ではなく「No」のボタンを押して拒否しなればならない。

注意点5,ATMの制約を理解しておく

ATMの中には引き出し限度枠が低いものがあり、その場合、複数のATMを回る必要が出てくる。また、紙幣の種類を選べず高額紙幣が出てくることもある。海外では高額紙幣を受け取りたがらない店もあるので、そうした場合の対策として高額紙幣を崩しやすい店の見当を付けておきたい。

7,クレジットカードの海外キャッシングを上手に利用することでお得に

慣れないとおそるおそるという感じになってしまうが、一度行ってみると国内ATMを利用するのと同じ感覚で海外キャッシングを利用できるはずだ。いくつかのカード会社では、ATMの利用法を図解していたり、ATM操作シミュレーションを公開していたりするので、事前によく確かめておくといいだろう。

海外キャッシングを使いこなせると海外旅行がよりスムーズになるので、その仕組みをよく知った上で、ぜひ自分にとってお得で便利なカードを見つけてほしい。

執筆・モリソウイチロウ(ライター)
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカード分野では専門サイトでの執筆経験もあり。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。

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