所有者不明土地の解消へ変わる相続ルール
(画像=Rise/PIXTA)

改正の内容と実務への影響

所有者不明土地の解消へ変わる相続ルール
(画像=ファイナンシャル・アドバイザー)

令和3年4月21日、所有者不明土地問題を解決するための民法・不動産登記法等の改正法が参院本会議で可決・成立し、同28日に公布された。早ければ2023年から順次施行される予定だ。この改正法が施行された場合、相続実務にどのような影響があるのか考えてみたい。

吉澤 諭
吉澤相続事務所代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士

法改正の背景

2016年の所有者不明土地は国土の約22%、九州全土を上回る約410万ヘクタールあり、何らかの策を講じなければ2040年には北海道の面積に迫る約720万ヘクタールに増えると予想されている。その場合の経済損失は20年間で約6兆円だ。

所有者不明土地が増えると、公共用地の取得が進まず再開発や公共事業に支障が出るほか、災害対策も進まなくなってしまう。また、空き家が増えれば倒壊や火災の危険、治安の悪化を招き、雑木の繁茂による放火やゴミの不法投棄など、環境衛生上の問題も出てしまう。

法務省によると、所有者不明土地が発生する理由の66%は「相続による所有権移転登記の義務がないこと」、34%は「登記制度における所有者の住所変更の不備」だそうだ。つまり、「相続」と「登記制度」にメスを入れない限り、所有者不明土地問題を解決することはできない。

高齢化の進展に伴い相続発生件数が大幅に増えている状況下、相続登記がされない状態が繰り返されていくと、土地所有者の数がねずみ算式に増加してしまい、ますます解決が難しくなってしまう。

今回の法改正にはそのような背景があることを踏まえ、以下、具体的な内容を見ていこう。

ポイント① 相続財産に属する共通物の分割の特則