富裕層の聖地化する軽井沢 人口増加の要因は楽天創業メンバーが建てた学校?
(画像=dukeito/stock.adobe.com)

「新型コロナ感染で軽井沢の人気が高まっている」というニュースを見かけた人も多いのではないでしょうか。しかし実際に軽井沢の人気をけん引しているのは、コロナ禍によるライフスタイル変化だけではありません。これまでにないコンセプトの一貫校の開校が軽井沢に富裕層が集まる流れに拍車をかけています。リゾート地の人口に影響を与えるほどの学校とは、どのようなものでしょうか。

軽井沢の人口増に影響を与えている要因はコロナ以外にもある

軽井沢町の広報「広報かるいざわ」によるとコロナ感染拡大が本格化した2020年以降、1年間で軽井沢の人口は約700人増えています。(2021年6月1日時点)700人の人口増加を少ないように感じられるかもしれません。しかし軽井沢町全体の人口が2万1,000人前後(2021年6月1日時点)のため、人口は高い割合で増えています。軽井沢の人口がどれだけ増えているかは、規模感を変えると実感できるでしょう。

例えば軽井沢町の約10倍の20万人都市でいえば5,000人、約100倍の200万人都市でいえば5万人が1年間で増えたことになりハイペースで人口増加が進んだことが分かります。人口が増えている要因として「新型コロナ感染が広がったから軽井沢に多くの人が移住した」という見方もありますが実際には、ほかの要因も大きいようです。

2021年6月9日に軽井沢町役場をヒアリングしたところ以下のような回答を得ることができました。

「コロナ感染拡大の影響で人口が増えたとの報道もあるが、2020年4月に開校した軽井沢風越(かざこし)学園の影響が大きいのではないか。首都圏から入学・転校してきたお子さんも多い。親御さんも一緒に動いているので人口増につながっている」

「軽井沢風越学園」に首都圏や関西などから富裕層が集まる

軽井沢の人口増加に影響しているといわれる「軽井沢風越学園」とは、どんな学校なのでしょうか。教育期間は、幼稚園(3年)・小学校(6年)・中学校(3年)の12年間、通学が基本の一貫校です。2020年4月に開校し約1年経過した2021年4月時点での生徒数は、計263人(幼稚園含む)となっています。

楽天の創業メンバーだった本城慎之介理事長が「子ども自身が探索する」「探究する」をテーマに自己資金を元手に開きました。日本経済新聞(2021年5月6日付)のインタビューで本城氏は「(2021年は)5割が家族で移住してきました」と述べています。仮に263人の生徒のうち5割がほかのエリアからの入学者・転校者で両親も一緒に移住してきたとなるとその総数は約400人です。

軽井沢風越学園の開校がこのエリアの人口増に大きく貢献していることが分かります。軽井沢風越学園の初年度の応募倍率は、平均3~4倍とのこと。入学希望者は首都圏のみならず関西や九州など全国各地にいるそうです。ちなみに初年度における年間の費用は以下のようになっています。

幼稚園の初年度年間費用(2022年4月入学の場合)

  • 入園金:10万円
  • 授業料:54万円
  • 施設費:10万円
  • 教材費:2万4,000円
  • 合計約76万4,000円

小中学校の初年度年間費用(2022年4月入学の場合)

  • 入学金:20万円
  • 授業料:60万円
  • 施設費:10万円
  • 教材費:3万円
  • 合計:約93万円

仮に小学校1年から入学して9年間を過ごした場合は、トータルで約677万円がかかる計算です。一般の公立小中学校よりも費用は高いため、おのずと入学するのは、高額所得者または富裕層の子どもたちが中心になるでしょう。 ※幼稚園は、幼児教育・保育の無償化(月額上限 2万5,700円)の対象になります。

日本の教育の常識をくつがえすコンセプトとカリキュラム

「軽井沢」というブランド力のあるエリアに開校したとはいえ人口2万人前後の町にある学校がこれほど富裕層から注視される理由はなんなのでしょうか。それは、ほかの学校にはないコンセプトとカリキュラムを持っているからです。「軽井沢にしかない無形の価値がある」ことから富裕層が軽井沢に大挙しているといえるでしょう。

軽井沢風越学園のコンセプトは、子どもたちが「じっくり、ゆったり、たっぷり、まざって過ごす」です。2.2万坪の緑豊かな場所で3~15歳の子どもたちがおのおのテーマを見つけて年齢の垣根を越えて混じり合って成長していくスタイルです。通常の教育スタイルとは、大きく異なります。

軽井沢風越学園では、幼稚園年少~小学2年生までを「前期」、小学3年生~中学3年生までを「後期」に区分けして基本的なカリキュラムを組んでいるのが特徴的です。その内容をまとめると以下のようになります。

前期(自分をつくる時期)
幼稚園年少~小学校2年
・身の回りの世界をカラダで感じる
・感情をめいっぱい表現する
・「~したい」という気持ちを重視する
後期(自分でつくる時期)
小学校3年~中学校3年
・他者や社会との関係を大切にする
・さまざまな「つくる」をたっぷり経験する

(参照:軽井沢風越学園公式サイト「わたしたちのカリキュラム」)

軽井沢風越学園は、自然豊かなロケーションで体験を重視する自由度の高い学校ですがフリースクールなどとは、根本の考え方が違います。軽井沢風越学園の理念は、「すべての子どもの自由に生きるための力と、自由を相互に承認する感度を育む」。単に子どもをのびのび育てるだけではなく「自己承認できる子どもを育むこと」が同校の目指している方向なのです。

※本稿はフリースクールの考え方を否定するものではありません。

軽井沢から新しいビジネスやトレンドが生まれる可能性も

今後の軽井沢の動向で注目したいのは「軽井沢風越学園の開校がこのエリアにどのような影響を及ぼすか」ということです。軽井沢風越学園という要素を省いても首都圏から比較的スムーズに行き来できる軽井沢町は、テレワークをするビジネスパーソンにも注目されています。もともと軽井沢町は、テレワークの誘致に積極的な自治体です。

その流れにコロナ禍がやってきて注目のテレワーク・スポットになりました。こういった新しい働き方を実践するビジネスパーソンや軽井沢風越学園の親御さんとなる富裕層がこのエリアに集まることによって短期的にはこれらの人たちをあて込んだ高価格帯の飲食店・小売りなどが増えることが予想されます。

さらに中・長期的に見ると感度の高い人たちがこのエリアに集まった相乗効果で次の時代に合ったビジネスやトレンドが軽井沢から生まれる可能性も十分あるでしょう。

軽井沢の不動産価格は前年比6%増。コロナ禍でも好調を維持

当メディア(THE Roots)は、不動産投資家の読者も多いメディアですので最後に軽井沢の不動産動向について触れておきます。軽井沢町の不動産価格は、商業地・住宅地ともに近年上昇トレンドが継続。5~6年スパンで見ても地価の上昇傾向は鮮明です。住宅地で見ると2021年公示価格では前年比6%上昇。2020年の5.2%から上昇幅が拡大しました。

つまり軽井沢町の不動産マーケットは、コロナ禍で上昇率を加速させたのです。日本経済新聞(2021年3月25日付)では、軽井沢町の不動産が上昇トレンドにある理由について「富裕層の別荘ニーズが高まっていること」を挙げています。別荘といっても広い邸宅スタイルだけでなく高級マンションも人気です。

同紙では、1億円前後の新築高級マンション「デュオヒルズグラン旧軽井沢」の売れ行きが好調であることを伝えています。2021年6月10日に販売会社に問い合わせると「最終の残り1室しかない」とのことでした。ワクチン接種によってコロナ禍が落ち着くタイミングは、軽井沢のターニングポイントとなりそうです。

コロナ感染で海外旅行ができないことで国内リゾートに目を向けていた富裕層の人気が下火になるのか。それとも、コロナ感染をきっかけに富裕層に魅力を再認識された流れがそのまま続くのか。軽井沢は不動産マーケットの観点でも注目です。

(提供:THE Roots

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