既に大変有名な話題ですが、4月12日に衆院本会議でネット選挙を可能とする公職選挙法改正案が全会一致で可決されました。また4月19日には無事に参院本会議でも可決され、今年夏の参院選にはネット選挙が解禁となる見通しとなっています。

今日のIT化、グローバル化社会においてネットを介さない選挙はナンセンスであるといわれて久しかったのですが、ついに選挙期間中に候補者がネット上で選挙運動をすることが可能となりました。
(※インターネットによる投票行為ではないのでご注意ください。)

インターネット等を利用した選挙運動の解禁は、様々なメリットやデメリットが生み出されることが予想され、大変注目が集まっています。またその注目は、政治的・社会的な側面だけでなく、ネット選挙の実施によってIT系企業を中心に多くのビジネスチャンスが生じることも予想されており、経済的な面からも注目が集まっています。

そこで本日は、既にネット選挙を実施している諸外国の事例を参考に、ネット選挙の光と影、また関連する事業や銘柄についてのまとめてをお届けします。



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◉海外の事例①〜ネット選挙の強みをフルで活かしたオバマ大統領〜




昨年の11月、米国にて民主党のバラク・オバマ氏が大統領選に勝利したことは記憶に新しいことでしょう。実はオバマ氏の勝利は、巧みなネット戦術があったためだと言われています。

オバマ氏は今回の選挙戦に挑むにあたり、卓越したIT技術を持つ人材100名からなるデジタルチームを編成しました。その中にはソーシャルメディア等で得られる膨大なデータ(ビックデータ)の分析を基に、問題解決を図るグロースハッカーなども含まれていたそうです。

そのチームの効果は絶大で、膨大なデータを分析し有権者を緻密に分類することで、オバマ氏陣営はフェイスブック上でのきめ細かいプロモーションに成功しました。その結果、献金額の9割を占める250ドル以下の小口献金のほとんどを、ネット経由で獲得することに成功します。このようにオバマ氏陣営は、ビッグデータとネット広告を有効に使いこなしたと言うことができるでしょう。

参考: 決済系スタートアップが米国大統領選挙に与えた影響〜新時代のファイナンスは世界をどう変えるのか〜




◉海外の事例②〜過度のネガティブキャンペーンというデメリット〜




ネット選挙の発展は、多くのメリットがありますが、残念ながらキャンペーンの行き過ぎによるデメリットもあると言われています。

例えば1997年からネット選挙を解禁している韓国では、昨今”ネガティブキャンペーン“が大きな問題となっています。ネガティブキャンペーンとは、対立候補を貶めるような発言・広告宣伝をし、相対的に自候補のイメージアップを謀るという選挙戦術の一種です。
ネットというメディアは、些細な噂や誹謗中傷も瞬く間に広がり大きな影響力を持つ可能性があるという特性を持ちます。その為、インターネット上でのネガティブキャンペーンの展開は、対立候補に取って大きな脅威となり得ます。

韓国で行われたネガティブキャンペーンの例として、2年前のソウル市長選が有名です。野党系無所属候補の朴元淳(パク・ウォンスン)氏陣営は、対立候補の与党ハンナラ羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)氏に対して「エステに1億㌆(当時約700万円)も使っている」という宣伝をネット上で拡散しました。

もちろんそれだけが理由ではありませんが、結果的に羅卿瑗氏は落選します。また、後に捜査当局の調査でネガティブキャンペーンは嘘だったということが発表されたのですが、既に後の祭りと言えます。

このように、ネット選挙には有権者の関心の高まりや候補者への理解の深まりなどの大きな魅力と同時に、ネガティブキャンペーンなどのマイナス面も存在します。しかし重要なのはいかにしてマイナス要素を打消し、有権者の得られるメリットを最大化するかではないでしょうか


◉国内の現状と予想される今後の動向




まず簡単に国内の政治家のインターネットの活用状況も振り返ってみましょう。

例えばTwitterは、橋本徹大阪市長に代表されるように数多くの政治家に利用されており、時に政策討論の場やプロパガンダの場として機能しています。また、内閣総理大臣の阿部晋三氏のFacebookフィードの購読者数は約32万人(5月1日現在)となっているなど、Facebookも政治家の情報発信の場として機能し始めています。

このように既にソーシャルメディアを上手く使いこなしているメディアリテラシーが高い候補者にとっては、今回のネット選挙解禁は追い風となることでしょう。今まで以上に、ビッグデータの活用やネット広告の利用、またインタラクティブ(双方向)性を持った動画配信によるアピールなどの方法を活用していくことが予想されます。

一方、低いメディアリテラシーの候補者にとっては、対立陣営からのネガティブキャンペーン上手く対処出来ない可能性や、不慣れなネット活動での失言が生じるなどのリスクがあります。また「なりすまし」によって偽の情報を流布される等の恐れもあり、これらのリスクをヘッジする必要もあるでしょう。