
企業支援で活躍する全国の人材に登場してもらい、そのノウハウや実践知、支援事例を紹介する。
今回は、きらぼし銀行の取引先支援事例を、融資管理部の牧岡大介次長にご寄稿いただいた。
本支店一体となり支援に取り組む
きらぼし銀行融資管理部の取組み──日々の関係性を重視し異変に素早く対応
きらぼし銀行は2018年5月に、東京都民銀行、八千代銀行、新銀行東京の3行が合併して発足。首都圏の地域社会の発展に貢献する金融グループとして、21年5月31日現在164店舗を展開している。
①融資管理部の設立
20年4月に、取引先の経営改善支援や、業績悪化の予兆を管理する役割を担っていた融資統括部与信管理グループの人員を5名増員。10名体制とし、名称を「コーポレート・ソリューショングループ」に変更、取引先の支援体制の見直しを行った。
同年7月には同グループの人員を15名体制とし、融資統括部から「融資管理部」(以下、当部)として独立。各支店に担当者を配置し、営業店を支援する体制を強化。本支店一体で取引先の金融支援・経営改善の提言等に取り組んでいる。
②モニタリングによる適切な事業実態の把握
当部は設立当初、各取引先の新型コロナウイルス感染症拡大の業績への影響と、資金繰りの把握に優先して取り組んだ。コロナ関連融資を実行した取引先の影響度合いに応じ、当部が同行して面談を行い、政府系金融機関との協調融資、返済条件のリスケジュールの提言、東京都中小企業再生支援協議会の斡旋、外部専門家活用による課題解決の提言――などを実施し、伴走型支援に尽力した。
21年1月からは、債務者区分に基づき、業績や財務に課題を有する取引先を約2000社抽出し、重点的に管理を行う対象先として、本支店一体となって前述の支援に取り組んでいる。
昨今は各種制度融資やリスケジュールによる資金繰り支援が一服しつつある一方、抜本的な業績・財務の改善や、事業計画の策定・内部管理体制の構築・財務リストラ等の相談が増加傾向にあり、外部専門家と連携しながら課題解決に取り組んでいる。