法人保険の販売手法に新たなメス! 課税強化される名義変更プラン
(画像=ELUTAS/PIXTA)

改正のポイントと今後の課税強化の動向

所得税基本通達の改正により、この7月1日から、低解約返戻金型逓増定期保険のいわゆる名義変更プランの課税強化が実施された。本稿では、今回の課税強化の背景や、その改正内容を確認するとともに、注意しておくべき今後の課税強化の動向について見ていく。

嶋田 雅嗣
CFPⓇ 株式会社トライエージェンシー ソリューション事業部長

バレンタインショック時のパブコメでも俎上に

2019(令和元)年2月に端を発するバレンタインショックは、生命保険業界を震撼とさせた。大手生保から中小外資をも交えて業界一団となって販売していた節税保険が、「法人税基本通達9-3-5の2」により全否定されのだ。

契約にあたっては、支払保険料を損金算入しても課税の繰延に過ぎず、節税にはならないことの確認文書「法人向け保険商品のご検討に際してご留意いただきたいこと」への署名を契約者に求めることとされ、実質保険料、実質返戻率などの用語の使用も禁止された。その結果、生命保険各社は法人保険の販売量を大幅に落とし、以後の販売戦略を大きく変更せざるを得なくなった。

バレンタインショックの際に国税庁は、意見公募したパブリックコメントで、「低解約返戻金型定期保険を個人に名義変更するいわゆる名義変更プランなどについても、対策を行う必要があるのではないか」という意見に対して、「ご意見のような保険商品やその利用実態も含め、保険商品全般の実態を引き続き注視し、必要に応じて取り扱いの適正化に務めてまいりたい」と回答している。

にもかかわらず、高額契約の販売復活のカンフル剤として、一部の生命保険会社では低解約返戻金型逓増定期保険の名義変更プランを積極的に販売してきた。経済雑誌の記事によれば、租税回避を増長させていると国税庁が判断するのも当然のような過激な提案も行われている。

これに対し、2021(令和3)年2月、国税庁より低解約返戻金型逓増定期保険の名義変更プラン等の課税強化を行う旨、生命保険各社に伝えられた。

生命保険各社からの質問・意見の受付、パブリックコメントを経て、6月28日に「所得税基本通達36-37」が 改正され7月1日より適用となっている。

今回の改正の要旨は、別表1のとおりだ。