テラー
(画像=PIXTA)

決算書の在庫に関する項目に注目して粉飾決算を見抜くためのポイントを解説する。

1 決算書の在庫の数字から粉飾をこう見抜く!

ここがポイント!
→在庫水増しの粉飾は期末商品棚卸高や翌期期首棚卸高が増加する。数期分の変化を見よう
→架空計上しているなら在庫の実査で見破ることも可能

粉飾決算は大きく2つのケースに分かれる。

1つは、利益が出ていないにもかかわらず、利益があるように見せかける粉飾だ。「ステークホルダーから利益計上を厳命されている」「有利な条件で取引したい」などの理由から利益を水増しし、黒字決算に見せかける。

2つ目は、利益を過少申告する逆粉飾である。費用を多く計上し決算を悪く見せて、納税額を抑える狙いがある。また下請企業なら「利益を多く出すと主力得意先から値引きを要請されるかもしれない」といった心理が働くこともある。

いずれのケースにおいても、企業会計原則の真実性の原則や単一性の原則に違反することは言うまでもない。

粉飾決算は一度手を染めると正常化は困難だ。連綿と粉飾を続けるしかなくなり、結果的に倒産によって粉飾が発覚。逆粉飾の場合は税務当局によって発覚すると、追徴課税は免れず、マスコミに報道され、社会からコンプライアンス違反企業の烙印を押される。

また本来は業績が悪いにもかかわらず、粉飾して黒字決算とした場合は、納税額が増えて資金繰りがさらに厳しくなるという悪循環を招く。

他にも粉飾には、関係企業や親密な取引先と結託して架空の売上を計上したり、計上すべき費用を計上しなかったりする手口もある。

筆者の信用調査での経験上、粉飾の手口は、期末在庫の水増し、架空売上、減価償却費の過少計上などが多く、簿外処理も含めて複数の手口を組み合わせることもある。

中でも、在庫の粉飾は比較的手軽であるため、粉飾に手を出してしまう経営者も少なくない。取引先に粉飾をさせないためにも、今回は在庫の粉飾に着目して、その見抜き方を解説しよう。

売上原価を抑えて利益を過剰に計上