Q 取引先を訪問したとき、事務所や倉庫の様子から経営状態を探る方法はありませんか。

過去の様子と比べて職場の劣化具合を確認しよう

前々回、前回では、企業の経営資源の中でも「モノ」から発せられる業績悪化のシグナルとして、「在庫勘定の水増し」による粉飾決算と「架空循環取引」による不正を解説してきた。今回は、取引先を訪問したときに分かるシグナルの捉え方を紹介したい。

担当者は、取引先の事務所や倉庫を訪問したときに「5S活動」が徹底されているかどうか確認してみよう。5S活動とは、①整理、②整頓、③清掃、④清潔、⑤躾(しつけ)――の頭文字のSを取ったもので、主に製造業で用いられている生産管理の原則だ(図表1)。整理と整頓など似た言葉が並ぶが、活動の具体的な内容は次のような違いがある。

近代セールス
(画像=近代セールス)

① 整理…必要なものと不要なものを分け、不要なものを捨てること
② 整頓…必要なものをすぐに使用できるように取り出しやすい状態にしておき、探すムダを省くこと
③ 清掃…衛生的な状態を目指し、汚れを取り除いておくこと
④ 清潔…①整理→②整頓→③清掃を繰り返し、汚れのない状態を維持すること
⑤ 躾…決められたルールを守り、それを定着させること

5Sの観点は製造業以外の企業にも応用できる。担当者は主観的な感覚でよいので、取引先の様子を見てみよう。もちろん、取引先の職場にあるものが必要か不要かという判別は、外部の人間には難しい。

ただそれでも、「書類が山のように積み重なっている」「種類が異なる資料が散乱している」「床の上に落ちたゴミが放置されている」といったことは見ればすぐに分かる。事務所全体が雑然としていれば、「不要なものが多く、必要なものを探し出すのに時間がかかるだろう」と推測できるはずだ。

「一事が万事」の視点で傾向を見よう