医療技術の進展は、先進各国などに死亡率の低下・寿命の伸長をもたらしましたが、高齢者の増加は、その分だけ社会福祉財源を求めることにもなりました。その一助のため、アイルランド・英国・カナダ・韓国・フランス・米国などでは、休眠預金を福祉関係の社会的事業の財源として活用する政策が実施されていました。

世界一高齢化が進行する一方で、赤字国債の発行に歯止めがかからないわが国でも、財務省を中心に、先行導入した各国の動きをかねてより注視していた模様です。

個人資産全体に占める預貯金の比率が相対的に高いわが国では、個人預貯金だけでも約9億口座が確認されています。それを2021年8月人口推計概算値の約1億2530万人で割ると、単純計算で国民1人当たり約7.2口座の保有となります。これだけの数がいずれも活発に動くことではないため、口座開設後、ある時期を境に長期間利用されていない口座も相当数に達しています。

かつては、長期間取引がない預 金口座に残された預金は、最終的に金融機関の収益として計上されてきました(勘定科目は「雑益」になる)。やや古いデータですが、2012年度から2016年度の5年間の平均では、毎年約800万口座から700億円超の休眠預金が発生しているという実態が認められました。

これらの事実を背景に、2010年代初頭から、政府内でこの休眠預金を活用して災害被災地などへの支援財源に充当することが検討され始めました。その後、政権交代を機に議論が凍結されかかったものの、民間からの問題提起などを契機に再び議論が活性化し、2016年12月に休眠預金等活用法が成立しました。

一般預金と決算性預金が休眠預金の対象