Q3 株式市場・株価は経済、証券会社や銀行へどう影響する?

A 「株価×発行済み株式数」で算出される時価発行総額は、「上場事業者の取締役の通信簿」といわれます。実態として、自社の株価を意識していない上場事業者の取締役はいないといってよいでしょう。

実務上でも、取引所に株式を上場している事業者が、株主総会やIR説明会で株主・投資家から何より求められるのは、株価の引上対策です。筆者も、かつて証券会社のホールでのIR説明会に説明者として登壇した経験がありますが、一般投資家(株主)から浴びせられた株価の引上要請が、大変厳しかったことを記憶しています。

このように株価は、株主に直接的な損得を与えます。しかしながら、影響はそうした直接的な範囲にとどまりません。

保有株式の株価が上昇すれば、当然ながら株主・投資家には余裕が生じます。個人株主・投資家であれば投資や消費に目を向けるようになりますし、事業者などの機関投資家であれば設備投資や雇用の拡大などを視野に入れるようになります。こうした二次的な正の波及効果を資産効果と呼びます。

したがって、上場株式の株価が皆上昇すれば景気の拡大が一層後押しされますし、その逆になれば、投資・消費・雇用などが低迷します。後者がもたらす二次的な負の効果は、逆資産効果とも呼ばれます。

政府としては、株価下落による負の循環がもたらされれば企業業績が落ち込んで税収が減るほか、運用している年金資産なども目減りするため、良いことは何もありません。そのため、株価を引き上げる施策を後押しもしています。

時価の把握がしやすい上場株式は融資の担保にも