
Q7. 相続預金払戻しでは古い戸籍の提出も必須なの?「改製原戸籍」「除籍謄本」ってなに?
A Q6まででも解説したとおり、相続預金払戻し手続きにおいて、戸籍は「最新のものを1枚提出してもらう」だけでは不十分といえます。現在戸籍に、相続人全員が記載されているとは限らないからです。
相続届や遺産分割協議書に記載された相続人が正当な相続人かを確認するために、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍を見なければならないことは、前述したとおりです。存在する相続人を見逃して相続預金の払戻しに至ると、その相続人から損害を請求されるおそれもあります。
例えば、婚姻や養子縁組などで戸籍が移った場合、その人は除籍となります。その後に転籍があった場合には、その記載内容のほとんどは新戸籍に引き継がれますが、「除籍者」や「離婚・離縁などの事項」については移記されません。また改製があった場合も「その時点で戸籍に在籍する者のみ」が、新しく編製された戸籍に転記されるだけです。
つまり結果的に、最新の戸籍だけでは、相続人全員を特定することはできないといえます。やはり、改製原戸籍などの古い戸籍の提出を受ける必要があるのです。
例えば、80歳代の被相続人の場合は「全部事項証明書」「(平成の)改製原戸籍」「(昭和の)改製原戸籍」が必要となるでしょう。さらに離婚や転籍等でそれらの戸籍にだれもいなくなっているようなケースでは、除籍謄本も必要になります。