可視化
(画像=PIXTA)

Q これまでに、財務諸表を長期で見ることや利益以外を見ることを解説していましたが、損益計算書から粉飾決算をどう見抜けばいいですか。

A 前回述べたように、損益計算書を見るときには、長期のデータを並べて検討することや「利益+役員報酬等」で判断することが重要である。

ここに、長期間の損益計算書を並べた図表がある。表1は会社が順調なときに見られる数値例を示している。売上が増えると利益も増えるが、役員報酬や交際費などがアップしていき利益は少額で安定する。

近代セールス
(画像=近代セールス)

続く表2は、順調だった会社の業績が悪化して逆戻りしていくような状態だ。赤字を計上した後、赤字が続くことを避けるために役員報酬等を減額し始め、これ以上の減額が困難な状態に追い込まれている。そして表3は、役員報酬等を減らせないので赤字が続き、経営の存在が危ぶまれる状況が見て取れる。

このように損益計算書を、売上高や、実際の収益力を示す利益+役員報酬等に着目して長期の推移で見ると、会社の状況が分かることが多い。2期や3期の比較や利益だけ見ていては、このような把握は困難だろう。

業績不振後の黒字に着目する