法人企業統計
(画像=PIXTA)

Q 利益が出ているのに、法人税等がとても少ない企業があります。粉飾決算を疑うべきですか。その見抜き方などを教えてください。

A 利益が計上されているのに法人税等(法人税、住民税及び事業税)が少額の損益計算書を見過ごす人が多い。この場合、本当に利益が出ているのか、粉飾を疑う必要がある。その着眼点を見ていこう。

そもそも法人税等は、法人の所得に対して課税される。所得は損益計算書の税引前利益におおむね一致するから、税引前利益が大きくプラスなら、その3割前後の法人税等が計上される場合が多い。

一方、法人税法上では、繰越欠損金という仕組みがある。法人が赤字を計上すると法人税等はほぼ発生しない。しかも、赤字相当額を翌決算期以降に繰り越して処理できる。この繰り越した金額を繰越欠損金と呼ぶ。

翌期に利益が出ても、それ以上の繰越欠損金が残っていれば法人税等の負担はほぼ生じない。現状、繰越欠損金は10年が有効期限となっている。

つまり、利益を計上しているのに法人税等が少ない企業は、過去10年以内にかなりの赤字を出したことがあり、まだ穴埋めできていない可能性がある。これは粉飾ではないものの、利益を計上しているからといって安心の決算とは単純に言えない。

一方で、利益を計上していて法人税等が少額の場合もあるが、このようなときはどう考えればよいか。

この背景を紐解くには決算に対する企業の考え方を理解する必要がある。多くの企業が目指すのは、比較的少額の利益で法人税等も少額になる黒字決算である(図表)。

業績が良い企業の社長は、利益を大きくしたいが、法人税等は抑えたい。だから法人税等の負担を減らすために利益を減らす努力をする。

一方、すでに赤字の企業の社長は、赤字決算では融資を受けるのが難しくなるから利益を増やしたい。ただ、法人税等は抑えたいから、少額の利益で少額の法人税等という決算を目指す。そのため粉飾に手を染める企業もあるわけだ。

利益の金額よりも利益率に注目する