居酒屋4
(画像=PIXTA)
銀行員の質問
これまで解説してもらった飲食店経営の基礎を踏まえ、担当者はウィズコロナ時代に向けてどのように飲食店経営を考え、支援していけばよいでしょうか。

今回は「これからの飲食店経営」について解説するとともに、これまでの本連載を振り返りながら「明日から使えるワンポイントアドバイス」を紹介する。

本物しか残らない時代の幕開けに

外食産業市場動向調査(日本フードサービス協会)によると、2021年11月のパブ・居酒屋業態全体の売上高は前年比96・8%、前々年比51・9%にとどまった。すでに新型コロナの感染者が大きく減り、全国で時短営業や酒類提供の制限が解除されていたにもかかわらず、である。

また全国各地の主要な飲食店の売上高を集計した「業種別売上月次推移」(株式会社ポスタス)によると、居酒屋は21年12月は前年比128・0%と増加したものの、前々年比では81・5%にとどまった。

1月に入ってからは新型変異株の感染拡大により不透明感が増し始めており、コロナ前(19年)の水準へ戻るには相当の時間がかかると想定される。

さらに、原材料費高騰、人手不足などの諸問題が浮上してきており、事業回復・再生への道のりは険しいと言わざるを得ない。

他方、少なからず外食を楽しむ層が存在しているのも事実だ。彼らが目指すのは特定の「あの店」であり、目的意識をもって訪問している。コロナ前にあったフリー客的な利用動機は少なくなりつつある。

実際、筆者が都内有名繁盛店の経営者十数名に聞き取り調査を行ったところ、前出の売上調査をはるかに上回る実績をたたき出していた。

コロナ禍において一定程度定着してしまった巣ごもり需要(内食・内飲み)は、外食する店選びのハードルを著しく押し上げていると考えられる。ウィズコロナ時代には、いままで以上に「外食する価値のある店」であることが求められており、本物しか残らない時代の幕開けといえるかもしれない。

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