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日本のマネロン対策は、共同システムの導入へ――。その課題も少なくない。
マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与防止対策(AML/CFT。以下、マネロン対策と呼ぶ)が世界的に急務とされる中、日本では金融機関だけでなく政府も共同システムによる対応を進めている。
その契機となったのは、2021年8月、マネロン対策を審査する政府間機関FATF(金融活動作業部会)の第4次対日相互審査で日本が「重点フォローアップ国」とされたこと。これを受け政府は、マネロン対策を行う共同システムを24年春までに実用化する方針を公表した。
共同システムの構想自体は以前から政府の検討事項にあり、21年7月には全国銀行協会が共同化のタスクフォースを立ち上げて検討に入っていた。さらに金融庁は今年1月、資金決済ワーキング・グループの報告書を公表した。
報告書によると、共同システムを通じて行うと考えられるのは、①各金融機関のマネロン対策で基盤となる預金口座等に関して継続的な顧客管理を適切に行うこと、②リスクベースアプローチの考え方で、為替取引に関する「㋐取引フィルタリング」「㋑取引モニタリング」の高度化・効率化を図ること――となる。
このうち、㋐取引フィルタリングは、金融機関が制裁対象者との取引を未然に防止する観点から、㋑取引モニタリングは、銀行等が行った取引について犯罪収益移転防止法に定める疑わしい取引の届出を判断する観点から、それぞれ行われることが想定されている。
実際、昨年のFATF審査結果では、㋐と㋑の両面で国内金融機関の問題が指摘された(図表)。同報告書が示したとおり、共同システムがこうした課題を解決するものとして期待したいところだ。

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