
(画像=PIXTA)
【売り手の相談12】販売後に返品や値引き要請があったらインボイスに関してどんな手続きが必要?
商売をしていると、売り手の適格請求書発行事業者は、買い手の課税事業者から返品を要請されたり、商品を売った後に値引きを要請されたりすることがある(以下、返品と値引きを合わせて返品等とする)。
この場合、売り手は受け取った代金を買い手に返金することになるが、買い手にインボイスを交付してしまった場合はどうなるだろうか。
返品等が発生した場合、売り手は買い手に「適格返還請求書」の交付義務がある。ここでいう「返品等」には、前述した返品や値引きだけではなく、割戻、売上割引、販売奨励金、協同組合の事業分量分配金等が含まれる。
したがって、これらの手続きをするときにも売り手は適格返還請求書を交付することになる。
適格返還請求書の記載事項は次のとおりである(図表)。

(画像=近代セールス)
①適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号
②返品等を行う年月日およびその返品等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日
③返品等の基となる課税資産の譲渡等に係る資産または役務の内容
④返品等の税抜価額または税込価額を税率ごとに区分して合計した金額
⑤返品等の金額にかかる消費税額等または適用税率
ポイントは、④⑤となるだろう。ここに返品等にかかる商品の金額や消費税額を記載することで、売り手は返品があった分の消費税額を減少させることができる。
また、「②返品等の基となった課税資産の譲渡等を行った年月日」では月単位や「○月分~△月分」といった幅のある記載が認められている。日々同じものが納品されるような場合、返品や値引きがいつ納品した分に該当するかが判然としないためだ。