
(画像=PIXTA)
Q 資金繰り表の作り方や活用法について、金融機関の担当者は何を押さえておくべきか、改めて教えてください。
A これまで11回にわたり資金繰り表の作成方法や、融資業務への活用ノウハウを述べてきた。最終回にあたり、要点をおさらいしてみよう。
予測や仕訳データから資金繰り表を作成する
基本として、資金繰り表からは「将来と過去の各月の月末現金預金残高の動き」と「各月の収入・支出の動き」が分かる。期初から期末までの財務活動内容を示す損益計算書とは性質が異なり、資金繰り表には過去の収支データから作る「資金繰り実績表」と、将来の予測から作る「資金繰り予定表」(図表)がある。

(画像=近代セールス)
資金繰り表は大きく「経常収支」「設備収支」「財務収支」の3つから構成されており、それぞれプラス・マイナスの組合せごとに企業の資金繰り状況を大まかにシミュレーションできる。
資金繰り予定表の具体的な作り方としては、次の順番で入金・支払い予定を入力していけばよい。
①売上代金入金
②その他入金
③仕入代金・材料費・外注費の支払い
④人件費支払い
⑤その他支払い
⑥利息・税金支払い
⑦設備売却の入金・設備購入の支払い
⑧借入れ・返済、利息支払いや定期預金・定期積金の預け入れ・解約
一方、資金繰り実績表では、将来の収支予測から作る予定表とは異なり、過去の収支を見て作る必要がある。そのため、実績表作成の際にはまず仕訳データから現金・預金勘定を抽出する必要があることを押さえておこう。
なお、企業の資金繰り状況によっては、月の途中でキャッシュが枯渇するおそれもある。そうした企業には月次資金繰り表に加えて日次資金繰り表を作成し、資金繰りをシミュレーションするよう提案したい。