雇用のミスマッチが強い状況はコロナ以前から継続
(画像=PIXTA)

どの事業に力を入れるべきか悩む取引先~貢献利益分析で損益改善

今回取り上げる取引先は…

損益改善のために拡大事業の選定に悩むA社

事業内容:バッグメーカーからの受託生産、自社ブランド製品の企画・製造・販売
資本金2,500万円、年間売上高は約5億円、従業員は50名。
主要顧客はバッグメーカー、バッグ小売店


A社はもともと他社バッグメーカーの縫製加工工程の一部を受託生産する下請企業として創業したが、受託生産を重ねながら、製品の企画から製造まで一貫して対応できる能力を養い、現在は、大手バッグメーカー数社を受託元とする低価格品受託生産(受託事業)と、自社ブランド品の企画・製造・販売(自社事業)の2事業を運営している。

受託事業は、安定した受注量を確保できるものの、製品の買取価格に対する値下げ要求などが厳しくなっている。受託元ごとに異なる要求内容に合わせた、コストや品質、納期などの調整が複雑で、調整にかかる時間やコストが増えて受託事業の損益を圧迫している。

自社事業は、天然素材のなめし革を、熟練職人が縫製・仕上げ加工する自社ブランド高級バッグの企画・製造・販売である。現在は、バッグ小売店数社と取引しており、A社の自社ブランド高級バッグは、取引しているバッグ小売店や小売店を訪れる顧客からの評価が高く、A社の売上や利益に貢献している。

A社ではここ数年売上高がほぼ横ばいで、営業利益が減少している損益状況である。A社社長は、損益改善という課題を設定し、収益性が高い事業を拡大することで課題解決したいと考えている。そんな中、A社に、有名ホテルチェーンのオーナーから「ホテル内のショップスペースを借りて、A社ブランドの直営店を開設しないか」という打診があった。一方で、受託元からも「受託生産量を増やせないか」という打診があった。

直営店の開設に当たり資金面はこれまでの利益の蓄積で対応できそうだが、現状の製造ラインの余力では、両方の打診に対応することは難しい。A社社長は今後の戦略の方向性として、どちらを採用するべきか悩んでいる。

解説