銀行
(画像=PIXTA)

規模はあるが先行きは楽観できない3グループ。各トップが注力する課題とは。

2021年2月以降、多くのシステム障害を起こしたみずほ銀行。事の重大さゆえに、頭取の藤原弘治氏だけでなく、親会社のみずほフィナンシャルグループ(FG)社長の坂井辰史氏ら首脳陣が辞任に追い込まれた。

新体制移行は22年4月からの予定だったが、坂井氏が体調を崩し、2月1日からみずほFG社長に就任したのが、常務だった木原正裕氏だ。

木原氏は1965年東京都生まれ。弟は岸田文雄首相の最側近で内閣官房副長官の木原誠二氏。89年に一橋大学法学部卒業後、旧日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。メガバンク初の平成入行社長だ。

弟が首相の側近ということから、政府や金融庁に対する「牽制」の意図がささやかれたが、みずほFGで指名委員会委員長を務める甲斐中辰夫(かいなかたつお)氏は「関係ない。金融庁は政治家を利用した空中戦を最も嫌う官庁」と否定する。

旧興銀OBは木原氏を「上司や部下など、周囲の人間からの評価が高い」と評する。ただ、資産運用のリスク管理など本流とはいえないキャリアで、トップ候補とみられていたわけではなかった。

辞任した坂井氏は、旧行のしがらみのない人物を次期トップにと考えていたらしいが、その構想はシステム障害の問題で崩れ去った。今回の人事で、みずほFG会長に旧第一勧業銀行出身の今井誠司氏、みずほ銀行頭取に旧富士銀行出身の加藤勝彦氏が昇格し、皮肉にも旧3行でポストを分け合う形になった。

みずほ銀行では今年に入っても小規模の障害が続いている。みずほFGが新体制を軌道に乗せるには、やはりシステム障害の収束が急務といえるだろう。

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