
(画像=PIXTA)
業績が悪い取引先へはまず事業継続への意思の見極めが必要だ。判断の基準や、具体的な支援方法をみていく。
1 廃業すべきか否かの見極め方
自社株評価から始めて廃業の条件を設定し経営者の意思を確認する
事業承継は企業活動の未来に関わる選択であるだけに、業績が悪化している取引先についてはまず継続(事業承継)か廃業かを決断してもらう必要がある。
本来ならどちらの道をたどるか経営者が前もって判断し、そこへ計画的に向かうことがあるべき姿だが、決断できないまま経営者や従業員の高齢化が進んでしまうケースが多いのが実情だ。
もし業績回復の見込みがないのなら廃業の決断は早いほどよい。問題はそれをいつ決断するかだが、「匙(さじ)を投げた」とも受け取られかねない廃業の決断は借入れの負い目もある経営者には大変難しく、金融機関側が待っているだけでは通常何も進展しない。
決断を促すのは金融機関にとっても苦渋の対応だが、「可能性があるうちは保留しておこう」という気持ちに流されてもいけないのである。
ここは経営者の心情に寄り添いつつ、冷静に「廃業の条件設定」をしていきながら、事業承継支援への前段階として、事業継続なのか廃業なのか、経営者の決断を引き出したい。