
(画像=tadamichi/PIXTA)
後継者候補が事業承継を拒む理由の1つに、経営者の個人保証(経営者保証)がある。経営者保証がどれほど事業承継の妨げとなっているのか、それに対し担当者は何ができるかみていく。
1 なぜ経営者保証が事業承継の妨げとなるのか
日本商工会議所が2021年3月に公表した「事業承継と事業再編・統合の実態に関するアンケート」によると、事業承継にあたっての障害・課題は、回答の割合が多い順に「後継者への株式譲渡」が32・7%、「後継者教育」が29・3 %、そして「借入金・債務保証の引継ぎ」が27・8%となっている。
また経済産業省・金融庁の19年公表資料「中小企業・小規模事業者等の生産性向上に向けた取り組み」によると、全国の中小企業のうち約半分の127万社は、後継者が未定であるという。
後継者未定の理由は、「後継者はいるが、事業承継を拒否」との回答が22・7%を占める。後継者が事業承継を拒否する理由を聞くと、「経営者保証を理由に承継を拒否」が59・8%を占めるという。
多くの事業者にとって経営者や後継者への個人保証が事業承継を妨げる大きな課題となっていることが分かるだろう。