
(画像=CORA/PIXTA)
投資信託窓販業務にかかわる関連法規制・税制を踏まえつつ、担当者に求められる適切な提案やアフターフォローの取組みなどを解説します。
【今回の覚書】適合性の原則
今回は、裁判事例を含め、いくつかのケースを挙げて、適合性の原則について解説します。
最初に紹介するのは、「79歳のお客様に元本割れリスクの高いノックイン型投資信託を勧誘・販売したのが違法」と判断された裁判事例です。
このお客様は元本割れリスクのある商品の購入経験がなく、裁判では以下の点などから相当程度にリスクの高い取引であることを理由に適合性原則違反と判断がなされました。
①相場によっては元本の相当部分が損失する可能性がある
②株価が上昇しても得られる利益は分配金、あるいは償還時に元本に上乗せされる上限に限定されている
③利益に比べて被り得る損失が大きくなる可能性がある
④日経平均株価は頻繁に30%以上の下落幅を示している
⑤期間が3年と長期である
この裁判で注目すべきは、このお客様に対する勧誘自体が、不法行為だと判断された点です。
裁判で問われたのは「適合性の原則」(金融商品取引法第40条第1号)の遵守についてです。つまり、「お客様の属性に反して不適切な商品・取引については、いかに説明を尽くしても販売・勧誘ができない」ということです。