貸出・マネタリー統計
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据置期間終了に向けて、支援の姿勢が問われている。

「今年度、最大の課題は据置期間が終わる取引先への対応だが、簡単には…」。東京都のある信用金庫で融資担当幹部がため息をつく。コロナ禍の経済対策として民間金融機関が実質無利子・無担保の制度融資(ゼロゼロ融資)を2020年5月に取り扱い始めて2年が経過。申込受付は21年3月末に終了したが、返済が進んでいない企業は多い。

民間金融機関の融資を保証する信用保証協会の保証債務残高は、ゼロゼロ融資開始前の20兆円から急増し、21年1月末から40兆円台が続く。代位弁済の件数は21年9月から前年比でプラスに転じた(図表)。企業が抱える融資は多い一方、返せないケースが出てきた状態といえよう。

近代セールス
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そこで、冒頭の信用金庫幹部のような懸念が生じる。制度上、企業がゼロゼロ融資の返済を猶予される据置期間は最大5年。ただ、申込時に設定した据置期間は2年以下のケースが多いうえ、事業が抜本的に回復していない企業には返済が重荷となる。

22年度に入り、一部の自治体はゼロゼロ融資を借り換えられる制度を創設したほか、既存の制度で借換えを可能にした自治体もある。例えば東京都は、都内の中小企業を対象としてゼロゼロ融資の借換専用の制度「特別借換」を4月1日から開始した。融資期間は15年以内で、うち据置期間は5年以内。融資額が8000万円までなら信用保証料の全額を東京都が補助する。東京都によれば、開始早々に申込みが出ているという。

借換制度で発生する金利に警戒感も