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2.増加運転資金
ここまで経常運転資金について解説してきたが、これは企業が日頃から必要とする基本的な運転資金であるから、新たに融資の提案を行おうとしても「すでに他行庫から融資を受けている」というケースが多いだろう。そこで考えたいのが「増加運転資金」である。
売上増や事業拡大が資金需要のチャンス
もう一度、経常運転資金の計算式をみてみよう。
・経常運転資金=「売上債権+棚卸資産-仕入債務」
企業の売上が増加すると、経常運転資金として必要となる金額が多くなる。そこで需要が発生する運転資金を「増加運転資金」という(図表4)。増加運転資金が生じる流れは次のとおりだ。

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企業の売上が増えると、売掛金・受取手形・棚卸資産などの企業が立て替えている金額も増加する。それに伴い、買掛金・支払手形といった仕入先や外注先に立て替えてもらっている金額も増加する。しかし基本的に、売上原価より売上高のほうが多いものだ。そのため通常は、売掛金・受取手形・棚卸資産の増加のほうが、買掛金・支払手形の増加より多くなる。
融資の方法や返済条件は、経常運転資金の場合と同様である。このように企業の売上が増加すると資金需要が発生するので、融資提案のチャンスを逃さないようにしよう。

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