
(画像=andranik123/stock.adobe.com)
運転資金・設備資金の組合せなどが検討される状況別に、見極めの着眼点・提案例を解説する。
①コロナ融資の返済が進まず追加資金を必要とする取引先
黒字化見込みを踏まえ実質資金使途を検討コロナ融資の返済対応も含めた提案に
2021年4月末、「ゼロゼロ融資」の残高は民間金融機関・政府系金融機関合わせて56兆円規模にのぼり、最近では過剰債務問題の出口戦略が議論されている。
しかし、このコロナ融資が返済フェーズに移行しても、業種・業態によっては事業継続のために追加資金を必要とする企業がみられる。追加融資が必要とされるのは、資金繰りに苦慮している・売上低迷の底を脱し反転攻勢に出ようとしている企業だ。
本ケースでみる企業は、隣接する2都市に3店舗を構えるフィットネスクラブA社。20年前、貸倉庫だった自社の土地に総合型スポーツクラブを建設し創業。その後駅前テナントビルへトレーニングジムを2店舗開業した。
健康志向の高まりもあり、会員の順調な増加に伴い良好な経営状態であったが、コロナ後は感染リスクが高い業態と捉えられたことや、営業時間の短縮要請などが影響。会員の退会・休会により売上が減少し、苦境に立たされた。
雇用調整助成金や休業補償の利用、20年6月には自行からコロナ融資3000万円を調達して資金繰りを回してきた。なお、コロナ融資は据置期間2年で利用したため、22年6月に返済が始まる。