押さえておきたい!事業のトレンドと主な資金需要【1】
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担当者が融資に取り組むにあたって知っておきたい前提の知識として、主な業界におけるコロナ以降の事業トレンドと資金需要を解説する。

❶飲食業界

主な資金需要
・店舗開業のための初期費用
・業態転換のための設備資金

開業のための費用に加えコロナを機に増加している業態転換用の資金需要にも注目

飲食業界の資金需要で考慮すべきなのが、店舗開業で必要になる初期投資の資金である。飲食店の設備資金としては、一般に物件取得費(保証金、礼金、仲介手数料)、内装工事費、空調設備費、備品購入費などが生じる。

開業後の飲食店経営は「FLR比率」に着目すると読み解きやすい。売上に対する主要経費(食材原価・人件費・家賃)の比率のことで、60~70%以内に抑えることが理想とされている。

思うように売上が立たない開業当初は、FLRをはじめとした費用の合計が、売上の金額を超えてしまう。店舗を周知するための広告宣伝費もかさみがちだ。

日本政策金融公庫が2015年に発行した「新たに飲食業を始めるみなさまへ

創業の手引き+」によれば、飲食業が開業後軌道に乗り始めるために必要な期間として、回答者の約6割が半年以上をかけていることから、最低限6カ月分の運転資金を初期費用として考えたい。

同資料2020年版では、「必要な資金」の記入例として設備資金770万円(店舗内外装工事400万円、厨房機器150万円、什器・備品類100万円、保証金120万円)、運転資金230万円(仕入90万円、広告費等諸経費支払140万円)、合計1000万円が示されている。出店立地や業態、坪数等にもよるが、一般的な飲食店の初期投資費用は、1000万円が1つの目安と考えられているからだ。

想定外のコスト上昇による資金需要発生も