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❸建設業界
- 主な資金需要
- ・機械類などの設備資金
・資材調達に関わる運転資金
受注後の滞留資金も考慮しながら運転資金需要の高まりに注視しよう
建設業は典型的な受注生産型の産業だ。受注後の売上回収手段は、請負代金や工期の長さで変わる。例えば、請負代金1000万円以上・工期150日以上で選択可能な中間前金払、工期180日以上で選択可能な出来高部分払などがある。中小工務店では、着工時・工期中間時・竣工時に3分の1ずつ資金を回収するケースが多い。
建設業者は、こうして回収した工事代金をもって、施工に必要な材料費、労務費、自社下請専門業者への外注費などを賄う。
ただし、建設業界は手形による決済が根強く残る業界でもある。工事代金の回収条件よりも立替資金の支払条件が早いほど運転資金の需要が生じやすい。業態や規模によっては、車両、建機・重機をはじめとした機械設備、倉庫、資材・機材センターなどへの設備資金需要も発生する。
建設業の一定期間における資金繰り状況は、立替工事高比率で確認するとよい。施工中の工事に加え、完成・引き渡しされた工事も考慮した収支状況を把握できる。
立替工事高比率は、立替工事高÷(売上高+未成工事支出金)×100で導き出す。この数値が低いほど滞留資金が少ないことを意味する。逆に高い企業では、運転資金需要を探りたい。
建設業情報管理センターの調査「建設業の経営分析(令和2年度)」によれば、立替工事高比率の平均値は11・04%である。建設事業者の規模は大小様々だが、この平均値から、売上規模に関わらず、必要な運転資金の目安が割り出せるだろう。

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