昨今の疑問に応える!住宅ローン関連の質問への対処法【後半】
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質問3 これ以上住宅ローン控除が改悪される前に家を買ったほうがいい?

住宅ローン控除は、住宅ローンの年末残高に控除率を乗じた額を所得税から控除する仕組みである。令和4年度税制改正大綱ではこの住宅ローン控除について改正がなされるとあり、その内容がしばしば「改悪」ではないかといわれる。

確かに改正内容をみると、控除率が1%から0・7%へ変更といった数字の引下げがある。控除期間が10年から13年に伸びたとはいえ、改正前のほうが最高控除額が大きい点も気になるだろう。

しかしながら、控除率の引下げについてはより現実的な形への変更であると筆者は考える。なぜなら、そもそも現行の住宅ローン控除では、特に中間層において、最大限の恩恵を受けられていないことが多かったためだ。

住宅ローン控除では、所得税から控除しきれない分は住民税からも控除が可能である。しかし実態からいえば、最大控除額分の控除を受けられるのは一部の利用者のみだった。住宅ローン控除の主な利用者として想定されていた中間層の所得税・住民税の支払税額が、住宅ローンの年末残高の1%に及ばないことが多かったためだ。

逆にいえば、所得税・住民税の支払税額が最高控除額を超えているような富裕層なら、今回の改正で控除額が減るというデメリットが発生するものの、そもそもそれほどの税額を払う富裕層に住宅ローン控除を適用すべきかという問題もある。控除率が変更された目的の1つに、こうした「公平性」の観点もあったことだろうと筆者は考える。

加えて所得要件が3000万円から2000万円に引き下げられたことについても、公平性の観点での改正と理解してよいだろう。それほどの所得がある富裕層が住宅ローン控除を受けるべきなのかという問題への対応である。

以上のことから、多くの中間層にとっては今回の改正は一概に改悪とはいえず、むしろより「中間層向け」に改められたとも考えられる。

目の前の税制に左右されずに検討を