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明確な基準は出なかったが、珍しくない提案手法だけに、慎重な対応が求められよう。
不動産の相続税評価額が実勢価格より大幅に低くなることを利用した節税スキームの是非が争われた訴訟で、4月19日、最高裁は相続人側敗訴の判決を下した。これにより、国税当局の課税処分を認める判決が確定した。
今回の事案に関する事実関係の概要は次のとおりだ。2009年、91歳の男性がマンション2棟を合計約13・9億円で購入、このうち約10・6億円を銀行借入れで賄った。その3年後の2012年、男性は94歳で亡くなった。
相続人である息子らは、相続税を申告する際に、国税庁が定める財産評価基本通達(評価通達)に基づきマンション2棟の評価額を約3・3億円と算定。ほかの相続財産も含めたうえで銀行借入れを差し引いた結果、相続税をゼロと申告した。
これに対し国税当局は、評価通達の例外規定に基づいて鑑定を行い、マンションの評価額を実勢価格である計約12・7億円と算定、相続人に対し計3・3億円弱の追徴課税を命じる。
そこで、相続人が課税処分の取消しを求めて提訴したのが本件である。1審・2審とも、課税処分は適法であるとして相続人の請求を棄却。相続人は上告したが最高裁は棄却し、相続人敗訴の2審判決が確定した。