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融資の継続で既存先を訪問する際は、関係が構築できていると思って気を抜いてはいけない。決算書を受け取る場面では、特に注意が必要だ。
近代銀行の落第さんは、自行がメインの水産加工会社C社を訪問し、月末期日で運転資金を同額で継続。しかし決算書を受領する場面で内容を確認せず、そのまま日常の業務に追われC社の決算書を放置してしまう。期日が近づき決算書を確認したところ、棚卸資産と売掛金が大きく膨らんでいることに気づく。内容を確認しようにも勘定科目明細がなかったため、C社社長に無理をいって再度の面談を取り付けた。
ここで落第さんは「赤字決算ならば金利や担保条件が変わる可能性がある」と考え、流動資産が増加した理由をC社社長に問い詰める。
C社は、品評会で評判が良かった新商品に手ごたえを感じて、今期の売上増加に期待して在庫を積み増しているところだった。品評会の話は、落第さんにも雑談の中で伝えていたが反応がなかった。
そこに、かねてから新商品に関心を寄せていた精鋭銀行が、在庫資金を提案したのだ。C社からすれば、新商品の話をしていたにもかかわらず、戦略的に積み上げた在庫を非難されたと感じてもおかしくはないだろう。