

【解説】コロナ禍の集客向上策ではSNSの活用が必須
ウィズ・コロナが日本でも常態化し、消費活動が盛り返してきている。このタイミングでコロナ前の規模まで売上を回復したいサービス業は多いはずだ。ただ現実には、売上を回復している店舗と売上が戻らない店舗の差が激しい。
なぜこうした差が生まれるのか。その理由は、「コロナ禍でいかにSNSを活用できたか」にあるといってよい。コロナ禍でも売上を維持・向上させたサービス業は、SNSだけで集客していたといっても過言ではないのだ。
そこで今回は、SNSで売上を伸ばした事例や具体的な運用方法をお伝えしたい。
まずは数あるSNSの中で、どのメディアを活用するかだ。近年の主なSNSは図表1のとおりで、筆者はインスタグラムを勧めたい。容易に継続できるからだ。

というのも、SNSにおける最大の課題は更新作業だからだ。戦略的にSNSに取り組んだものの2週間で更新頻度が低下し、1カ月で更新停止――という例を数多くみてきた。その点、インスタグラムは写真1枚でも更新ができるので継続しやすい。
では、実際にインスタグラムを運用する際のポイントは何だろう。実際に筆者が支援した日本料理店の事例を交え解説する。
この日本料理店は、客単価3万円を超える高級店である。支援当初、店主は「店の高級感が薄れかねない」との理由からSNSの運用には否定的だったものの、コロナ禍による営業自粛で時間ができたためインスタグラムアカウントの開設に至った。
運用にあたり筆者はまず、「毎日投稿するなどの無理な目標はやめましょう」とアドバイスをしている。「週に最低○回投稿」といった目標は定めたが、本業が忙しい際には休みも認め、その分投稿内容のクオリティを下げないように努めてもらった。そのうえで、基本的なアドバイスも行った(図表2)。

これらを踏まえ、店主は投稿の柱を「週2回・夕方6時の定時投稿で、日本料理の調味料や味付けのコツ・調理法などを写真で紹介する」と打ち立てた。例えば「イカの刺身を包丁で切りつける際に、縦切りと横切りで食感が大きく変わる」といった、日本料理店ならではの技を紹介していったのである。
すると、アカウント開設から約1年でフォロワーは2500人を超え、「いいね!」は平均で300付くようになった。実際に集客につながったことも励みとなり、最近は動画投稿にも挑戦している。
SNSの運用にあたっては広告を利用してフォロワーを増やそうとする事業者もいるようだ。確かにSNSの広告は「ターゲティングが絞れていて効果的で安価」といわれることがあるが、過去に1000万円以上SNS広告を運用した経験のある筆者からすると、その評価は「半分当たりで半分外れ」である。
広告において費用と効果は完全に相対関係であり、SNS広告に明確な効果を期待するなら、結局は週10~20万円の投資が求められるという水準を覚えておこう。