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押さえるポイント2 内部環境
1 業務の流れ
業務の流れは、バリューチェーン(価値の連鎖)とも呼ばれます。各業務(部門)の工程と担当部署、外注先も含めた各業務プロセスの内容と、部門同士のつながりを把握することで事業全体の流れを理解することができます。ここでは、どの業務プロセスに独自性があり、取引先の強みとなっているかを理解することが重要です。
荒木製作所を例にすると、業務の流れは、❶見積・受注→❷工程設計→❸仕入→❹製造→❺検査→❻納品です。そのうち特にこだわっているプロセスは、次の2点だとわかりました。
❷ 工程設計:過去の加工データと職人の経験やスキルを掛け合わせて検討している
❹ 製造:加工しやすいようにカスタマイズした加工機を経験豊富な技術者が使いこなす
こういった独自性のあるプロセスは、当社が選ばれる理由=強みにつながっていきます。
これと併せて、従業員が各プロセスの中でこだわっていること、大切にしていることも確認しましょう。従業員個人のこだわりは取引先の「価値」になり、各工程で様々な「価値」が付加されて最終的に製品・サービスとなりお客様に提供されます。これは取引先の強みを見つける重要なポイントです。
荒木製作所は、小さなネジ(微細技術)や強いネジ(新素材)を当たり前のように製造していますが、これはバリューチェーンの各工程での価値の積み重ねがあって成せること。当社にとっては当たり前でも、一般的には優れた技術なのです。
このように、実際に働いている社長や従業員は自社の独自性を把握していないことがあり、「強みを教えてください」と聞いても引き出せないことが多いでしょう。ヒアリングの際には、企業にとって「当たり前」や「いつものこと」にこそ焦点を当てるようにしてください。