WTI原油先物は、国際的な原油価格の指標の1つだ。原油価格の変動は、株価など世界経済にも大きな影響を与える。そのため、分散投資としてWTI原油先物取引を考えている人もいるのではないか。本記事では、WTI原油先物の仕組みやメリットデメリットに加え、投資方法や手順も解説する。リスクやリターンを確認し、資産への組入れを検討してみよう。
目次
WTI原油先物とは?

原油価格の先行きを占う指標として、多くの場面で用いられるのが、「WTI(West Texas Intermediate:ウェスト・テキサス・インターミディエイト)原油先物」だ。ここではまず、WTI原油先物の基本事項と原油価格の変動要因について解説する。
WTIは米国の代表的な原油先物商品
WTI原油先物とは、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)に上場されている原油先物商品だ。米国のテキサス州やニューメキシコ州で産出する原油で構成されており、流動性や価格の透明性が高いことから、国際的な原油価格の指標として多くの場面で利用されている。
原油はガソリンや灯油、軽油などの原料になるのはもちろん、プラスチックや合成繊維、合成ゴム、塗料など、多くの製品を作るのに欠かせない。そのため、原油価格の変動は世界経済に大きな影響を与えるといわれ、経済や市場の動向を知るのに重要な指標とされている。
原油価格が上下する主な要因
WTI原油先物の対象となっている原油は、いくつかの理由によって価格が上下する。ここでは主な4つの要因を見ていこう。
・原油価格が上下する要因1:原油国やOPEC(石油輸出国機構)の動向
1つめは、原油国やOPEC(石油輸出国機構)の動向だ。石油が多く採れる国は、アメリカやロシア、中東各国などに限られる。それらの国の動向や供給量の増減は、原油価格に大きく影響する。
実際、ロシアによるウクライナ侵攻が発生した際には、ロシアからの原油の供給量が下がると考えられ、WTI先物価格が上昇した。原油価格の推移を考えるなら、原油国の動きにも注目するべきだろう。
・原油価格が上下する要因2:世界の景気
世界景気も原油価格の動向に大きな影響を及ぼす。たとえば、好景気な国で原油の消費量が増加することで、原油価格が上昇する場合がある。特に、中国やアメリカといった大国の景気は原油価格を動かす大きな要因となるケースもあるため注視したい。
・原油価格が上下する要因3:天候
天候も原油価格を左右する原因の1つとなる。一例を挙げると、例年以上に冷暖房が必要な気温が続いた場合、エアコンの使用量などが増えることで原油価格も上昇する。そのほか、ハリケーンや地震といった災害により供給が不安定になったときにも、原油価格が上がるケースがある。
・原油価格が上下する要因4:原油在庫量
原油価格を知るには、米国エネルギー情報局(EIA)が毎週水曜日に発表する週間原油在庫も確認したい。在庫量の推移を見ることで、現状における需要と供給のバランスがわかる。供給不足の場合は価格が上がり、供給過多の場合は価格が下がる可能性がある。
【参考】U.S. Energy Information Administration
先物取引の特徴を確認しよう
WTI原油先物は、その名の通り先物取引により売買が行われる。先物取引は、一般的な現物取引とは決済方法や取引期限、税金といった点が大きく異なる。ここでは、先物取引の基本事項を確認しよう。
先物取引の特徴1:差金決済が行われる
先物取引の特徴の1つめは「差金決済」が行われる点だ。差金決済とは、売却金額と買付金額との差額の授受によって決済することをいう。取引時に商品と現金の受け渡しが行われる現物決済とは異なり、商品と対価の交換は行われない。
たとえば、1,000円で買いの先物取引を行ったとする。期日に価格が1,200円に上昇した場合、利益となる200円の受け渡しにより決済は完結する。同様に、損失が出た場合も損失額の支払いだけで売買が終了する。差金決済は、投資資金が少ない人でも比較的大きな取引ができる決済方法だといえるだろう。
先物取引の特徴2:「売り」から取引をスタートできる
差金決済が行われる先物取引は、「売り」から取引をスタートできる点も特徴だ。商品と現金の受け渡しが必要な現物取引では、「売る商品」が手元にない状態で取引をスタートすることは不可能だ。そのため、現物取引では必ず「買い」から始まる。
対して先物取引は、商品と現金の受け渡しが不要なため、売りと買いのどちらからでも取引をスタートできる。それにより、投資の選択肢をより多く持てることが先物投資の利点といえる。
先物取引の特徴3:取引できる期間(限月)がある
取引できる期間(限月)が定められているのも先物取引の特徴である。限月とは、契約の期限が満了する月のことだ。
WTI原油先物取引の限月は毎月となっており、満期日にはSQ(Special Quotation:特別清算指数)により清算される。
なお、先物取引では満期日まで必ずしも契約を継続しなくてもよい。買いの場合は転売、売りの場合は買戻しをすれば、満期日前に先物契約を解消できる。
先物取引の特徴4:レバレッジをかけられる
レバレッジ取引ができるのも先物取引の大きな特徴の1つだ。レバレッジ取引とは、証拠金を預け入れることでその数倍の売買ができる投資方法である。
たとえば10万円を証拠金として投資をする場合、レバレッジ20倍なら200万円(10万円×20倍)まで取引ができる。元手以上の大きな売買を実現できるのが、レバレッジ取引の魅力といえるだろう。
先物取引の特徴5:取引時間が長い
現物株取引と比較して取引時間が長いのも、先物取引の特徴だ。たとえば現物株の取引時間は、市場が開いている9時~15時(11時30分~12時30分を除く)である。一方、WTI原油先物取引の取引時間は8時~翌朝7時(※米国標準時間。米国夏時間は7:00~翌6:00)であり、ほぼ一日中取引ができる。
先物取引の特徴5:税率の違いや損益通算に注意が必要
WTI原油先物への投資では、投資方法によって利益にかかる税率や納税方法が異なる。
海外先物取引の場合、税金は総合課税により課税される。総合課税とは、給与所得や一時所得、雑所得などの各所得金額を合計して所得税額を計算する課税方式だ。課税所得が多いほど税率が高くなる累進課税方式が採用されており、税率は5~45%に設定されている。納税するには、確定申告が必要である。
さて、投資をするなら知っておきたい制度の1つに、一定期間内で発生した利益と損失を相殺することで納税額を抑えられる「損益通算」がある。しかし海外先物と損益を通算できるのは、総合課税による雑所得に限られているため、現物株やFXと合算することはできない。
また、暗号資産は総合課税による雑所得扱いだが、金融商品取引法上の金融商品として扱われないため、こちらも合算ができない。
【参考】国税庁 | No.1522 先物取引に係る雑所得等の課税の特例
また損益通算できるのはその年の損益に限られており、通算しきれなかった損失を翌年以降に繰り越すことも不可能だ。
海外先物取引ではなくCFDでWTI原油先物に投資をした場合には、利益に対し20%(2037年までは復興特別所得税がかかるため20.315%)の税金がかかる。
▽CFDとは
証券CFD(差金決済;Contract For Difference)取引とは、少額の証拠金を預託し、国内外に上場する株式、世界の主要な市場の株価指数・株価指数先物、債券先物等の価格を参照し、取引開始時と終了時の価格差により決済が行われる差金決済デリバティブ取引の一種です。
引用:JSDA日本証券業協会 | 証券CFD(差金決済)取引の特徴とリスクとは?
ここで気をつけたいのは、CFDは特定口座での取引ができない点だ。特定口座とは証券口座の一種で、ここで得た利益は源泉徴収されるため、原則として確定申告をすることなく納税が完結する。CFD取引はこの特定口座の対象外であり、確定申告による納税が必要となる点は知っておこう。
またCFD取引と損益通算できるのは、国内オプション取引およびFX(取引所取引、店頭デリバティブ取引)などに限られており、現物株や投資信託とは損益通算できない点に注意しよう。
ETFでWTI原油先物に投資をした場合の税率は、CFD同様20%である。ETFは特定口座(源泉徴収あり)での取引が可能なため、原則として確定申告は不要だ。
▽特定口座とは
特定口座を開設すると、証券会社や金融機関は、特定口座内における上場株式、公社債(特定公社債を含む)、公社債投資信託などの議渡損益を管理し、年間の損益を計算した「特定口座年間取引報告書」をお客様と所轄の税務署へ交付します。
引用:JSDA日本証券業協会 | 投資の時間 | 特定口座(とくていこうざ)
ただし、他の証券口座で発生した利益と合算して損益通算する場合には、確定申告が必要となる。また、損失を翌年以降に繰り越す場合も確定申告が必要となることは知っておこう。
WTI原油先物に投資するメリット
ここでは、WTI原油先物に投資する4つのメリットを見ていこう。
WTI原油先物に投資するメリット1:世界のエネルギーを資産に組み入れられる
メリットの1つめは、世界のエネルギーを投資資産に組み入れられる点だ。先述の通り原油は、ガソリンや灯油、軽油などの原料になるのはもちろん、プラスチックや合成繊維など、多くの製品を作るのに欠かせない。WTI原油先物を資産に組み入れることで、エネルギー高騰時にも資産を守ることができるだろう。
WTI原油先物に投資するメリット2:利益を狙えるチャンスが多い
先物取引は、買いだけでなく売りからも取引をスタートできる。そのため、利益を狙えるチャンスが多いのも魅力の1つである。
買いからしか投資できない現物株取引の場合、利益を狙えるのは価格の上昇が想定される局面のみだ。一方、売りからの投資もできる先物取引では、今後価格が下がるであろう局面でも投資ができる。
たとえば、ある商品を期日に1,000円で売るという取引をしたとする。この場合、期日に価格が900円に値下がりすると、契約した取引価格である1,000円との差額の100円を利益として得られる。
より多くのチャンスを持って積極的に資産運用をしたいなら、先物取引も検討したい投資方法の1つである。
WTI原油先物に投資するメリット3:手持ちの資金以上の投資ができる
レバレッジ取引によって手持ちの資金以上の投資ができる点も、先物取引のメリットだ。投資は、元手が大きいほど大きな利益が期待できる。たとえば、1万円の投資が10%値上がりしても1,000円の利益しか得られないが、投資額が100万円であれば、同じ10%の値上がりで得られる利益は10万円になる。
このようにある程度大きな利益を狙うには、まとまった額で投資を行う必要がある。しかし年齢が若いうちなどは、投資に回せる資金の確保が難しいことも少なくない。資金が潤沢でない場合、レバレッジ取引を活用した投資も1つの選択肢となるだろう。
WTI原油先物に投資するメリット4:夜間早朝の取引が可能
先物取引は、現物取引と比較して取引時間が長い。特に、WTI原油先物はほとんど一日中取引できるため、生活スタイルなどにかかわらず空いた時間での投資の実行が可能だ。
WTI原油先物に投資するデメリット
次に、WTI原油先物に投資するデメリットを解説する。
WTI原油先物に投資するデメリット1:損失額が手持ちの資金を超える可能性がある
デメリットの1つめは、損失額が手持ちの資金を超える可能性がある点だ。レバレッジ取引を行うWTI原油先物取引では、値動き次第で損失額が想定外に膨らむこともある。先物取引に投資をするなら、値動きや資産の増減はしっかりと管理しておくべきだ。
仮に、10万円の証拠金で10倍のレバレッジを掛けて100万円の取引をしていたとする。価格の変動により資産が70万円まで値下がりしたら、損失額は証拠金よりも多額の30万円なってしまう。
このように先物投資では、大きな利益を狙える一方で損失が証拠金以上の額に達する可能性がある点に十分注意が必要だ。
WTI原油先物に投資するデメリット2:追加で証拠金の差し入れを求められることがある
WTI原油先物取引をするなら、損失が大きくなった場合に追加で証拠金の差し入れが必要になるケースがあることも知っておくべきだろう。この追加証拠金は「追証(おいしょう)」と呼ばれている。
先物取引では、保有している取引の維持に必要な「証拠金所要額」が定められている。損失の発生などにより証拠金が所要額を割り込んでしまうと、追加証拠金の差し入れの必要性が生じる。差し入れには一定の期限があるため、速やかに入金の手続きを行わなければならない。
▽証拠金所要額
「SPAN」という証拠金計算システムにより計算された「SPAN証拠金額」をいいます。さらにオプション取引のポジションも保有している場合はSPAN証拠金額からネット・オプション価値の総額を差し引いた額をいいます。
引用:JPX日本取引所グループ | 用語集 | 証拠金所要額(しょうこきんしょようがく)
追加証拠金の差し入れに慌てずに対応するには、余裕資金をある程度手元に残しておくことも重要である。
・強制決済の可能性
追加証拠金の差し入れを求められているにもかかわらず期日までに入金されなかった場合、現在保有している取引が強制決済される可能性がある。
強制決済が行われると、現在の運用状況にかかわらず保有している先物契約が清算されるため、含み損が損失として確定してしまう。
強制決済を回避し、望むタイミングでの決済を実現するには、余裕を持って証拠金の管理をする必要があるだろう。
WTI原油先物に投資するデメリット3:投資方法によっては為替リスクが発生する可能性も
海外先物取引でWTI原油先物に投資する場合、為替リスクにも注意したい。海外先物取引は外貨で行うため、投資で得た利益額が為替レートによっても変動するのだ。
仮に、120万円の資金を1ドル120円の為替レートで米ドルに転換し、1万米ドル分の投資をしたとする。投資から1,000ドルの利益を得て、1ドル105円の為替レートで円に戻したとしよう。
この場合、最終的に受け取れる投資額は115万5,000円である。つまり、米ドルの時点では10%の利益が出たにもかかわらず、円では4万5,000円のマイナスになってしまったのだ。
為替レートによる資産の減少を防ぐには、不利なレートでの通貨の転換を行わないことがポイントだ。そのためには、通貨転換のタイミングをじっくりと計れるよう、余剰資金で投資を行うことが重要になる。
WTI原油先物に投資する3つの方法
WTI原油先物に投資するなら、一般的な海外先物取引の他にも「CFD」「ETF」などの方法がある。それぞれの特徴やメリットデメリットを確認し、投資スタイルに合ったものを選ぼう。
WTI原油先物に投資する方法1:海外先物取引
WTI原油への投資方法の1つめは、海外先物取引を利用する方法だ。概要は以下の通りである。
▽海外先物取引によるWTI原油先物取引の概要
WTI先物取引(WTI原油/ミニWTI原油) | |
---|---|
取引単位 | 1,000倍/500倍 |
1枚当たりの取引金額(一例) | 12万米ドル/6万米ドル |
レバレッジ | 約13倍 |
発注時必要証拠金(一例) | 9,185米ドル/4,592.5米ドル |
手数料(1枚当たり片道) | 6.6ドル/4.95ドル |
限月 | 毎月 |
取引時間 | 8時~翌朝7時 |
・海外先物取引を利用するメリット
海外先物取引でWTI原油に投資するメリットは、米ドル建ての大きな取引ができる点だ。ある程度まとまった資金を用意できる人や、資産の一部に米ドルを組み入れたい人は、海外先物取引の利用も選択肢になる。
・海外先物取引を利用するデメリット
デメリットは、取引単位の下限が高くそれなりの資金が必要になる点と、為替リスクがある点だ。少額から取引を始めたい人や投資初心者は、他の投資方法を検討してみてもよいだろう。
WTI原油先物に投資する方法2:CFD(Contract For Difference:差金決済取引)
CFD(Contract For Difference:差金決済)とは、取引開始時と終了時の価格差により決済が行われる差金決済デリバティブ取引の1つである。WTI原油先物は、CFDによる取引も可能だ。取引概要を以下で確認しよう。
▽CFDとは
証券CFD(差金決済;Contract For Difference)取引とは、少額の証拠金を預託し、国内外に上場する株式、世界の主要な市場の株価指数・株価指数先物、債券先物等の価格を参照し、取引開始時と終了時の価格差により決済が行われる差金決済デリバティブ取引の一種です。
引用:JSDA日本証券業協会 | 証券CFD(差金決済)取引の特徴とリスクとは?
▽CFDによるWIT原油先物取引の概要
WTI原油先物CFD | |
---|---|
取引単位 | 10倍 |
1枚当たりの取引金額(一例) | 1,200米ドル |
レバレッジ | 20倍 |
1枚当たりの証拠金額(一例) | 約6,400円(GMOクリック証券の場合) |
手数料 | 無料 |
取引時間 | 8時~翌朝7時 |
・CFDのメリット
CFDのメリットは、ドルではなく円で投資できる点だ。海外先物取引の為替リスクが気になるなら、CFDが選択肢となるだろう。CFDは最低取引額が先物取引よりも低く手数料も無料なため、少額からレバレッジをかけた先物取引に挑戦したい人にも向いている。
・CFDのデメリット
CFDのデメリットとして、高いレバレッジをかけた取引をすると損失額が大きくなる可能性がある点が挙げられる。特にはじめてCFDに挑戦するときは、低めのレバレッジで少額から始めることを忘れないようにしたい。
ETF(Exchange Traded Funds:上場投資信託)
ETF(Exchange Traded Funds:上場投資信託)とは、投資信託のうち市場に上場されているものをいう。WTI原油先物に連動する運用を目指すETFを購入すれば、WTI原油先物に投資したのと同様の効果が期待できる。ETFの取引概要を以下で確認しよう。
▽ETFを活用したWTI原油先物取引の概要
WTI原油先物のETF | ||
---|---|---|
取引単位 | 商品による | |
1口当たりの取引金額 | 商品による | |
レバレッジ | なし | |
取扱手数料 (税込) | SBI証券 | ・100万円まで無料 ・100万円~200万円:1,238円 |
楽天証券 | ・100万円まで無料 ・100万円~200万円:2,200円 | |
松井証券 | 【25歳以下無料】 【26歳以上】 ・50万円まで無料 ・50万円~100万円:1,100円 ・100万円~200万円:2,200円 | |
マネックス証券 | ・100万円まで:550円 ・100万円~:約定金額300万円ごとに2,750円 | |
auカブコム証券 | ・100万円まで無料 ・100万円~200万円:2,200円 | |
限月 | なし | |
取引時間 | 9時~15時(11時30分~12時30分を除く) |
・ETFを活用するメリット
ETFのメリットは、数千円から取引ができる点だ。また、証券総合口座を開設すればすぐに取引をスタートできるETFは、最も手軽にWTI原油先物に投資できる方法だといえる。
・ETFを活用するデメリット
ETFを通じてWTI原油先物に投資するデメリットは、レバレッジをかけた取引ができないため、手持ち資金の範囲でしか運用が行えない点だ。大きな利益を狙っている投資家にとっては、少し物足りなく感じるかもしれない。
WTI原油先物に投資するには証券会社で口座を開設しよう
WTI原油先物に投資するには、まずは証券会社で証券総合口座を開設する必要がある。そのうえで、さらに必要な口座かあれば追加開設しよう。
証券会社を選ぶ3つのポイントを確認
ストレスの少ない資産運用を行うなら、自身の投資スタイルにあった証券会社を選ぶことも重要だ。自分の投資スタイルを確認したうえで、以下の3つのポイントを考慮した証券会社選びをしたい。
・証券会社を選ぶポイント1:希望する商品の取り扱いがあるか
証券会社を選ぶにはまず、希望する商品の取り扱いがあるかを確認する必要がある。証券会社によって取扱商品ラインナップが異なるため、口座開設前に必ず確認しよう。
・証券会社を選ぶポイント2:取引手数料が高くないか
前項で紹介した通り、投資する商品や証券会社によって取引手数料がかかる。手数料は投資において無視できないコストとなるため、資産運用を成功させるには手数料をできるだけ抑えることも重要だ。
・証券会社を選ぶポイント3:使い勝手が良いか
WTI原油先物のようなハイリスク・ハイリターンな商品に投資する場合、常に値動きを把握し適切な売買を行うことが重要だ。そのため運用を成功させるには、使い勝手が良い証券会社を選びたい。
たとえば、すでに証券総合口座を持っており使い慣れた証券会社があるなら、そこで先物口座を開設し投資資産をまとめて管理するのも1つの手だ。スマホやタブレットからの取引が多いなら、メインの取引ツールとなるアプリの充実度も重要になる。取引に不安を感じるなら、証券会社の電話やチャットによるサポート体制の充実度も確認しよう。
口座開設手順1:証券会社で証券総合口座を開設する
取引する証券会社を選んだら、証券総合口座の開設手続きをしよう。開設の申し込みは、各証券会社のホームページから手続きできる。
ネット証券の場合、早ければ即日で開設手続きが完了するが、証券会社によっては数日~1週間程度かかる場合もある。なお、証券総合口座を開設しただけでは手数料などは発生しないため、取引を検討しているなら、いまのうちに口座開設手続きを進めておくと、スムーズに取引をスタートできるだろう。
口座開設手順2:WTI原油先物に投資するなら海外先物取引口座も開設する
WTI原油先物に投資をするなら、海外先物取引口座の開設も必要だ。海外先物取引口座を開設するにあたっては、別途先物・オプション取引口座の開設が必要な場合もあるため事前に確認したい。
口座開設手順3:CFDならCFD口座の開設も必要
CFDへ投資を行うなら、CFD口座の開設も必要だ。証券会社によっては、CFD口座の開設と併せてFX口座の開設が必要なケースもあるため、あらかじめ確認し、不備がないように手続きを進めよう。
特定口座で取引できない商品に投資するなら確定申告が必要
海外先物取引およびCFD口座でWTI原油先物に投資をした場合、先述の通り確定申告による納税が必要となることに注意しよう。ただしETFでWTI原油先物に投資する場合には、特定口座(源泉徴収あり)での取引が可能なため、損益通算や損失の繰り越しをしないなら原則として確定申告は不要である。
なお、海外先物取引およびCFD、ETFはそれぞれ損益通算できる損益の種類が異なる。複数の金融商品に積極的に投資をしている場合には、どの組み合わせで損益通算できるか、あらかじめ確認しておくことが肝心だ。
まとめ:原油価格の代表的指数であるWTI原油先物。投資スタイルに合った方法を選んで投資を始めよう
WTI原油先物は原油価格の代表的な指標だ。さまざまな製品の原料となる原油の価格変動は、世界経済にも影響を及ぼす。そのため、資産分散の1つとして運用資産への組入れを検討してもよいだろう。
WTI原油先物を取引するには、海外先物取引のほかにCFDやETFを利用する方法がある。レバレッジをかけた大きな取引ができる海外先物取引やCFDは、ハイリスク・ハイリターンの投資方法だ。少額からレバレッジなしの取引を行うETFなら、比較的リスクを抑えた投資ができる。
それぞれの商品の特徴やメリットやデメリットを確認し、投資スタイルや投資経験、リスク許容度に合わせた方法を選んでWTI原油先物への投資をスタートしよう。