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ここでは企業の強みを見つけるために社長に投げかけたい声かけを挙げ、ヒアリングで何がわかるのか解説します。
①企業概要 御社はいつどなたが創業されたのですか
創業の経緯は、社名の由来や経営理念などとともに定番中の定番の質問です。その理由は3つあります。
1つ目は、この話題が社長にとって「聞いてほしいこと」だからです。社長が話したい話題を振ることで、その後の会話がスムーズになります。
2つ目は、創業のエピソードから取引先の現状を知ることができるためです。起業には大きな動機や熱意が必要です。リスクを負ってまで起業したいと思った事業とはどんなものだったのか──それを知ることで、その会社が大事にする「パーパス」がわかります。
架空の音響部品製造会社を例に考えてみましょう。創業の経緯としては、現社長の祖父がラジオで流れる音楽を「もっといい音で聞きたい」という思いから、自らラジオを組み立て、音響部品を試作したのがきっかけでした。今はスマホやゲーム機の音響部品を製造していますが、「良い音」へのこだわりが会社の根本にあることが推察できるわけです。
3つ目は創業者以降、企業が引き継がれた経緯を把握できるためです。これには、親族間、従業員や外部からの招聘、またはM&Aによる事業承継など様々なケースがあります。
親族間承継は「会社は自分のもの」という感覚が強いため、会社と経営者が一体となっていることが多いです。一方、親族外承継の場合、優秀な人材を後継者に選ぶ点で業績には期待がもてますが、責任はあくまで在任中に限定され、創業家一族による承継と比べて、連続性は失われやすいといえます。