訪問リストとトークで準備!法人新規開拓
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最初に、訪問先の心理を踏まえ、新規開拓における心構えと基本的な進め方を理解しておこう。

金融機関の担当者が法人を対象に取り組む新規開拓活動は、いくつかのプロセスに分けられる。大まかにいえば、①訪問する地域や法人を検討して訪問先リストを準備する、②リストで挙げた訪問先の情報収集とアプローチ方法の準備、③繰り返しの訪問・提案──となるだろう(図表1)。

近代セールス
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こうした基本的なプロセスは、新規法人にアプローチする取引が融資の場合に限らない。本業支援関連のメニューである場合や、社長や従業員などを対象とする個人取引である場合でも同様だ。

ただ、若手の担当者の中には、プロセスを行動に移さず闇雲に訪問している場合もあるという。事前準備を疎かにしたアプローチでは新規開拓の結果は出にくい。以下に、大前提としての心構えから訪問するまでの基本的な進め方を述べていく。

繰り返し訪問する意味を理解しておこう

①新規開拓の際の心構え

担当者が新規開拓営業を進める際は、気分や体調といった事情でムダやムラが生じることなく安定して取り組むことが大切だ。まずは明確な行動基準を決めておこう。

提案の見込み度合いや訪問先の反応など、担当者によって考えはあろうが、筆者は次の要因から「一つの新規先には必ず4回訪問」を基準とすることをお勧めしている。

まず、1回目の訪問で取引が始まるケースはほとんどない。逆に「ぜひ取引をお願いしたい」とすぐにお願いするような企業は、資金繰りに困窮しており、金融機関にとってリスクが高いだろう。

次に、2度目や3度目の訪問でも、まだ表面的な話しかできないだろう。企業の具体的なニーズを把握し、担当者が貢献できることをアピールするには不十分だ。

金融機関はいま、企業との対話によって引き出したニーズに合わせた適切な提案が求められている。その一方で、ニーズを把握してもいないのに自行庫のサービスの話題を始めると、企業側は「売り込まれている」と感じてしまう。人間関係ができていない新規開拓先なら、なおさら警戒感をもたれやすい。

このような背景から、まずは新規開拓先の社長や経理担当者などと関係を築くことを目的として訪問を重ねるべきだ。

目安として、4回目以降で具体的なニーズを引き出して提案できるとよい。その段階では、「この会社をもう一回だけ訪問してみよう」と思えるかどうかが、訪問継続の分岐点になるであろう。

新規開拓は心身ともに楽な活動ではないが、「必ず4回訪問」といったルールがあると担当者自身がぶれにくくなる。繰り返し訪問する前提で臨めば1〜2回目で断られても立ち直りやすいからだ。また、経験の少ない担当者にとっては、訪問回数を重ねることで企業を観察できアプローチの工夫に生かせる点でも有意義である。

基礎情報の有無で心証が一変する