近代セールス
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▼本稿では「AML」とはアンチ・マネー・ローンダリング、「CFT」とはテロ資金供与対策のことを指す

銀行員の質問
マネロン対策で重要だといわれている「リスクベース・アプローチ」とはどのような概念なのでしょうか?
また、なぜいまそうした概念が重要視されているのでしょうか?

A リスクベース・アプローチとは、あらかじめ行動・対策を規定するのではなく、リスクの内容に応じて適切に対策を講じる考え方を指す。その考え方や重要性は、金融庁「マネロン・テロ資金供与対策ガイドライン」で次の趣旨で示されている。

国際情勢が時々刻々と変化するとともに、金融機関が講じるべきマネロン・テロ資金供与対策(AML/CFT)も常に移り変わる。金融機関はこうした動向やリスクの変化に機動的に対応し、AML/CFTの有効な管理態勢を維持しなければならない。

そこでガイドラインでは、金融機関は「自らが直面しているリスクや、顧客の業務に関するリスクを適時・適切に特定・評価し、リスクに見合った低減措置を講ずること(いわゆる「リスクベース・アプローチ」)が不可欠」と述べている。

こうしたリスクベース・アプローチに基づく管理態勢はAML/CFTを国際的に推進している金融活動作業部会(FATF)による勧告でも中心的な項目だ。すでに先進国でも定着しており、「我が国金融システムに参加する金融機関等にとっては、当然に実施していくべき事項(ミニマム・スタンダード)である」(同ガイドライン)。

特定・評価・低減が求められている