近代セールス
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目先の数字だけでなくリスクと向き合う人材育成を

想定外の速さで環境が変化する昨今は、案件単体ではなく、多面的にリスクを把握することが担当者に求められる。組織は数字ばかりを追わせずに大局的に人材を育てる意識をもつべきだ。

ある郊外に立地する支店の事例を紹介しよう。若手A君が取り組んだ新規客の貸出案件である。

A君は当店の若手の中でも期待の渉外担当者だ。日頃から情報収集を兼ねて足繁く訪問している不動産業者から次のような話があったという。

「都内で手広く会社を経営している社長から相続対策で賃貸マンション1棟を購入したいと相談された。(筆者が所属する)当店には個人の預金口座を持っている。融資取引のある既存の銀行は頼りないので、当店を紹介してほしいとお願いされた」

社長本人の口座は約一年前に開設され、ここ数カ月で頻繁に大口の入出金があった。このため当店では、遠隔地ではあるものの、不動産業者から紹介を受ける前から気にかけていたお客様だった。

社長個人を調べて浮かんだ懸念事項