銀行員が押さえておきたい インボイスの基本&アドバイス
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銀行員の質問
企業が仕入れや外注を行っている場合、買い手企業として、経理事務にどのような影響が生じるのでしょうか。その企業にアドバイスするにあたり、インボイス制度で必要な処理や注意を教えてください。

A 前回は、インボイス制度が開始となったときに、経理担当者が売り手側として対応する際の留意点を述べた。今回は、買い手側としての留意点を整理しよう。

まず、インボイス制度導入後も免税事業者であり続ける企業か、消費税の仕入税額控除を簡易課税制度によって行う企業は、経理事務に大きな変更点が生じない。

一方、簡易課税を利用しない通常の方法(本則課税)で仕入税額控除を行う企業には経理事務が煩雑になると覚悟してもらおう。この企業は製品やサービスを販売した相手先より預かった消費税から、仕入先や下請け先に支払った消費税を控除したうえで、納める消費税額を計算する。

インボイス制度の導入後に買い手企業は、仕入先などが適格請求書発行事業者に登録していないと仕入税額控除を行えないため、まずは登録の有無を確認する必要がある。

「受け取った請求書などに登録番号の記載があればよいのでは?」などと思うかもしれない。しかし、法人番号の前にTをつければ登録番号になるため、登録なしでも請求書などに印刷できてしまう。

そこで売り手企業の状況を知るために買い手企業は、誤った仕入税額控除を行って後で税務調査で指摘されるリスクを考慮し、適格請求書発行事業者公表サイトで確認しておくのが無難だ(画像はイメージ)。法人名や住所を登録することで、この公表サイトに登録されている法人を自動検索して仕入先などが登録事業者であるか調べられる会計システムもすでに登場している。ただ、従来は必要なかった確認だから、手間が増えることは間違いない。

企業にとっての仕入先などが公表サイトに登録されていた場合は仕入税額控除で処理できる。一方、登録がない適格請求書発行事業者以外の相手(消費者、免税事業者や登録を受けていない課税事業者)であれば、原則として仕入税額控除ができない。

未登録者との取引でも経過措置で一部控除