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銀行システムのコスト削減が強く求められ、オープン化が進んでいる。

地方銀行・第二地方銀行といった地域銀行で、システムコスト削減の動きが進んでいる。6月には金融庁が「金融機関のITガバナンス等に関する調査結果レポート」を公表し、地域銀行よりも信用金庫のほうがコスト面の効率性が高いと示すなど、効率化を促している。

金融機関の決済機能を司る勘定系システムは、大量のデータ処理能力や高い信頼性が必要となる。その開発・運用には巨額のコストがかかるため、信用金庫など中小規模の金融機関でシステムの共同利用化が進んだ。

その後、独自にシステムを構築していた地銀においても、コスト削減を狙ったシステムの共同利用が拡大。いまでは多くの地銀が、複数の地銀間で利用できる共同システムを採用している状況だ。

このような経緯で、開発・運用のコストを抑えられるとして浸透した共同システムは、ここにきてある問題を抱えている。メンテナンスや機能拡張などのシステム基盤に影響を与える局面で柔軟に対応できず、逆にコストがかかっているのだ。

同じシステム基盤を複数の金融機関が利用する性質上、基盤そのものに障害が生じた場合は、利用するすべての銀行に影響が出てしまいかねない。実際、ある共同システムでは今年3月に電源トラブルが原因でシステムが全面停止し、約10行で十数時間にわたりATMなどが使用できなくなる事態が発生した。

DXを念頭に金融庁も進展を期待