お金,ビジネスマン
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融資実務と、その法的性質や内規の意味合い・背景の関係を把握しておくと…稟議書やセールストークの説得力にも違いが出ます!

第20回のテーマ
「融資利率」って何に書いてあるの? どのように決められるの?

皆さんは、融資業務の証書貸付において、「金銭消費貸借契約証書」に融資利率が明記されていることに何ら違和感を覚えることはないと思います。

一方、手形貸付や手形割引において、申込み~実行までの過程で、融資利率や割引料の記載がなくても違和感を覚えない人がいるのではないでしょうか。

その場合、実行後に利息(割引料)計算書を発行して初めて融資利率(割引料率)の記載を目にすることも不思議に感じていないと思われます。むしろ「その計算書が融資利率(割引料)における契約書」だと誤解している場合も少なくないと思います。

銀行取引約定書には、利息、割引料等は「別に金融機関と顧客との間で合意したところによる」と規定されています。

金融機関と顧客との間で交わされる融資契約は、両者間の貸借(貸す・返済する)契約のほか、必ず利息の割合や支払方法等が契約として付随します。民法第587条ではこれらの契約について「消費貸借」と呼んでいます。

また、同法第587条の2では、書面にて約する契約を「書面でする消費貸借等」として条文が設けられています。あえて「書面」が付されているのには、そもそも契約の成立には「書面の作成その他の方式を具備することを要しない」(民法第522条第2項)と規定されているためです。

以上を踏まえて、融資利率が契約上どこに表記されるのかについては、証書貸付や手形貸付、手形割引といった貸付形態の違いを理解する必要があります。

貸付形態に沿った合意形成が必要