ポイント,チェック,項目
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3. 他にも押さえておくべき項目はあるの?

項目2で挙げたもの以外でも押さえておくべき項目について、特徴を解説します。

ディスクロージャー誌には、決算速報で公表されるような財務諸表以外にも、多くの情報が掲載されています。よってこうした掲載情報も、積極的にアピールしていくことが有効です。ここでは、特徴的な項目に着目して解説します。

1. 有価証券関係

金融機関は、お客様に投資信託などの預かり資産を提案しているだけではなく、自らも有価証券への投資を行っています。これらは主に、6種類に区分して開示することが一般的です(図表3)。

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さらに、満期までの残存期間や、売買目的、満期保有、子会社および関連会社株式、その他有価証券の保有目的などに応じた残高なども表示されていることでしょう。

これらは預金から融資を差し引いた余裕資金(余資)の中から運用されています。有価証券投資残高を預金残高で割った比率を預証率と呼びますが、この預証率は、預貸率と裏腹の関係にあります。ですから、預金量が小さい金融機関でも、預貸率が低く預証率が高くなると、実際の投資金額が預金量の大きい金融機関を上回ることもあるのです。

その預証率を基準に「株式と外国証券の保有残高が多い/これらへの投資比率が高い」ことが認められれば、金融市場の動向に応じて資産が短期間に変動し、損失を被る可能性が高くなります。つまるところ、相対的にリスクの高い投資を行っていると認識されるわけです。

したがって、有価証券投資割合の高い金融機関では、その他有価証券に区分した有価証券の時価が注目されることが少なくありません。

実務上では、貸借対照表の計上額が取得原価を超える場合や、逆に下回る場合に着目し、大まかな金額を説明しておけるようにしておくと良いでしょう。

基本理念や方針だけでなく数値的動向も押さえる