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金融機関の担当者が直面しがちな、相続相談や手続きに関する諸問題…その上手な対処法を様々な法制などの根拠とともに解説します!
- 担当者としてどこまでできる?
- 親から相続した実家の不動産の相続登記を後回しにするとどうなるか質問を受けた…
今号では今後改正が予定されている不動産の相続登記の申請義務化など所有者不明土地に関する制度について解説します。
≪相続登記の申請義務化≫
不動産登記制度は、土地・建物に関する情報を公の帳簿に登録し、これを一般公開することにより権利関係などの状況が誰にでもわかるようにし、不動産取引の安全と権利の保護を行うものです。
「所在」「面積」など表題部等の登記は義務となっていますが、現所有者などの権利に関する登記については強制されていません。
国土交通省による「土地白書(令和2年版)」によると、所有者不明土地の割合は24%にも上りました。所在者不明である原因は、相続登記の未了が63%、住所変更登記の未了が33%となっています。
第三者が関係する不動産売買や賃貸には正しく登記することが求められますが、身内の問題である相続登記は申請せずとも当面は困らないため放置されてきました。
ただ相続登記を怠ったまま相続が繰り返されると、相続人等の関係者が増え続け、関係者の探索や意思調整が難航します。さらに地方を中心に土地を引き継ぎ所有したいというニーズが減っていることも相続登記を妨げる要因です。
このような所有者不明土地は、土地の管理や利用に必要な合意形成が困難となり、公共事業や民間取引が阻害されます。そこで以下のような施策が打ち出されています。